Monthly Letter8月号 関税による「渋滞」をどう乗り切るか

経済成長率、企業収益ともに引き続き力強い伸びを示している。我々は、このサイクルがすぐに終わるとはみていない。しかし、貿易をめぐる緊張は高まっている。世界経済が景気後退に陥る前に貿易紛争は解決に向かうと我々は予想しているが、事態が良くなる前に一時悪化するリスクもある。そのため、我々はグローバル株式のオーバーウェイト幅を引き下げる。経済成長率とバリュエーションを注視しながら貿易リスクが低下するタイミングを待ち、それを機にグローバル株式の保有比率を引き上げることにする。

19 7 2018

トランプ米大統領が今月、英国を訪問している間に、私は「最高レベルの特別な*」交通渋滞にぶつかった。私はタクシー運転手に「建設工事か、観光客か、それとも何かのイベントで人々が街頭に繰り出しているのですか?」と尋ねた。すると、次のような皮肉めいた答えが返ってきた。「建設工事、観光客、ブレグジット、トランプ―どれでも今日の気分に合ったものをお選びくださいな」。私の眼には、あの渋滞はさながら、好材料と悪材料が入り混じった今のグローバル市場のように見えた。確かに、企業収益の伸びと経済成長率は全体としては強いが**、政治的な問題も頻繁に目に入ってくる。

ここ数年、我々は政治的な話題よりも実質経済にのみ注目し、資金を引き揚げずに投資を続けていれば利益を確保できた。この1カ月での最大の経済ニュースは米国の好調な雇用統計で、この発表を受けて米国株式は6カ月ぶりの高値水準に達した。しかし、トランプ政権は現在、貿易紛争を単なる脅しから実行に移し始めている。米国はまず、予定している500億米ドルのうち340億米ドル相当の中国製品に25%の関税を発動し、さらに2,000億米ドル分に10%の追加関税を課す予定だ。

追加関税が発動されるかどうかは現時点ではわからない。堅調な経済成長率など、ファンダメンタルズ(マクロ経済環境)は株式市場に有利に働いている。関税をめぐるリスクが高まりつつも、株式市場は上昇し続けている。しかし、市場が織り込んでいるのは、まもなく発動される関税の一次的な影響だけではないかと我々は懸念している。サプライチェーンの混乱、採用活動の停滞、投資の減少、あるいは貿易紛争のさらなる激化といった二次的な影響のリスクは一次的な影響よりも大きいが、現時点では相場に織り込まれていない。我々はこのリスクに備えるため、今月は、株式市場の上昇局面を利用して戦術的資産配分におけるグローバル株式のオーバーウェイト幅を引き下げる。その結果、グロ ーバル株式と新興国国債は若干のオーバーウェイト、欧州ハイイールド債はアンダーウェイトと、グローバルなリスク資産への我々のスタンスはおおむね中立となる。

今月号のレターでは、①市場が関税の脅威を過小評価していると我々が考える理由、②力強いファンダメンタルズに再び注目し、オーバーウェイトの拡大を復活させるタイミングを見極める上で注視すべきポイント、③リスクを抑えつつ資産価値の向上を目指すポートフォリオをどう構築するか、の3点について説明する。




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