House View Investor's Guide 8月号 関税による「渋滞」をどう乗り切るか

経済成長率、企業収益ともに引き続き力強い伸びを示している。我々は、このサイクルがすぐに終わるとはみていない。しかし、貿易をめぐる緊張は高まっている。世界経済が景気後退に陥る前に貿易紛争は解決に向かうと我々は予想しているが、事態が良くなる前に一時悪化するリスクもある。そのため、我々はグローバル株式のオーバーウェイト幅を引き下げる。経済成長率とバリュエーションを注視しながら貿易リスクが低下するタイミングを待ち、それを機にグローバル株式の保有比率を引き上げることにする。

26 7 2018

資産配分

世界経済の成長環境は引き続き堅固で、米国を除く各国の経済成長率も持ち直す気配が見え始めている。一方、貿易摩擦が収束する兆候はまだない。トランプ政権は、2,000億米ドル相当の中国製品に10%の関税を課す方針を明らかにし、新たな対象品目リストを公表した。これが発動されれば、さらなる報復措置の可能性が高まる。発表された措置が各国経済に及ぼす直接的な影響は比較的小さいと予想されるが、報復合戦が進んだ場合、企業と個人の景況感の悪化といった間接的な影響の方が経済成長と資産価格にははるかに大きな悪影響を与える可能性がある。下方リスクの高まりを踏まえ、グローバル株式の保有比率を引き下げる。

株式

米中間の報復関税の応酬がさらに過熱する恐れがあるにもかかわらず、グローバル株式はよく持ちこたえている。米国の景気指標が好調なことに加え、欧州経済が一時的な成長鈍化を乗り越えた最初の兆候が見えたことが市場を支えた。また米国企業の決算シーズンが始まる中、これまでに発表された業績も底堅い内容であった。 企業利益は前年同期比でおよそ15%増となり、今年のグローバル株式の追い風になるだろう。しかし、この夏には貿易紛争が激化するおそれがあり、ボラティリティ(相場変動率)は高止まりする可能性が高い。したがって、高格付債に対するグローバル株式のオーバーウェイトを終了する。

債券

欧州ハイイールド債のアンダーウェイトを維持するが、このポジションに対するオーバーウェイトを株式単独から株式と高格付け債の組み合わせに変更して、ポジションのリスクを減らす。高格付債に対する米ドル建て新興国国債のオーバーウェイトを継続する。新興国はなお貿易摩擦激化の影響を受けており、期待成長率は下方修正されているが、同資産クラスの年内の発行量は減少するとみられ、原油価格の上昇も支援材料となっている。米ドルのキャッシュに対し米10年国債をオーバーウェイトとする。これは、魅力的な金利収入を期待できるポジションだ。一方、日本円のキャッシュに対して日本10年国債をアンダーウェイトとしている。日銀による利下げの可能性は低く、今年後半に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の目標金利の引き上げに踏み切る可能性が高いからだ。

外国為替

台湾ドルに対するインド・ルピーのオーバーウェイトを終了し、日本円のオーバーウェイトに対するアンダーウェイトの通貨を米ドルから台湾ドルに切り替える。原油価格と農産物価格の上昇を背景にインドではインフレ・リスクが高まった。金融引き締め策が取られるとインド経済への重石になりかねず、原油の値上がりは経常赤字の拡大圧力になるだろう。台湾は米国発の貿易紛争による影響を非常に受けやすいため、我々は、台湾ドルの下落基調はまだ続くとみている。日本円のオーバーウェイトは、日本のインフレ率の上昇を受けて日銀が10年国債利回り目標を引き上げるか、世界の金融市場が下落して安全通貨としての日本円への需要が高まるかのいずれか場合でも恩恵を受けるだろう。




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