House View Investor's Guide 10月号 カオスの中での投資

高成長率、低インフレ率、低実質金利といった環境において、十分に分散されたポートフォリオは恩恵を受けるだろう。この楽観的見通しに対する主なリスクは、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ、中国の成長鈍化、現在進行中の関税交渉、原油価格の上昇だ。投資家は5つの主要な問いを考察することでボラティリティ(相場変動)の拡大に備えることができる。

27 9 2018

戦術的推奨

資産配分

米トランプ大統領が2,000億米ドル相当の中国製品への追加関税を発動し、さらに2,670億米ドル相当の製品に対する追加関税の可能性もちらつかせるなど、通商交渉が引き続き市場の関心を集めている。しかし、最近は追加関税の発表への反応が限定的なことから、市場はすでに貿易懸念をある程度織り込み済みと思われる。グローバル株式の益利回りは6%程度と、株式のバリュエーションは特に高いわけではない。世界経済の成長環境は引き続き良好でインフレ率は低水準が続いている。米国の景気先行指標は高い成長モメンタムの継続を示唆している。米連邦準備理事会(FRB)は予想通り9月に利上げを実施し、今後も段階的に利上げを継続すると思われる。欧州中央銀行(ECB)は2018年末までに量的緩和策を終了する予定である。我々はECBによる最初の利上げを2019年9月と予想している。よって、高格付債に対するグローバル株式の若干のオーバーウェイトを維持する。

債券

高格付債に対する米ドル建て新興国国債のオーバーウェイトを維持する。新興国のファンダメンタルズ(マクロ経済環境)と6.4%という魅力的な利回りがこのポジションを下支えている。また、ユーロ・キャッシュに対するイタリア2年国債のオーバーウェイトを開始する。イタリア政府が今後数年でデフォルト(債務不履行)に陥る可能性は低く、金利収入とロールダウン効果による価格上昇を考慮すると、短期イタリア国債の現在の金利水準は魅力的だ。米ドルのキャッシュに対し米10年国債をオーバーウェイトとする。イールドカーブの長期ゾーンは利上げサイクルを概ね織り込んでおり、金利収入が魅力的であると判断する。一方、日本円のキャッシュに対し日本10年国債をアンダーウェイトとしている。日銀はインフレ率の上昇とともに10年国債利回りの上昇を容認すると我々はみている。

株式

予想通り、米中それぞれが追加関税を発表し、発動に踏み切った。これらの措置は企業のコストを引き上げ、その結果、利益成長の勢いをある程度削ぐと思われるものの、全般的な収益力は堅調にみえる。よって、グローバル株式の若干のオーバーウェイトを維持する。また、オーストラリア株式に対するカナダ株式のオーバーウェイトを維持する。カナダ株式は、オーストラリア株式よりも割安で、増益率も高い。

外国為替

台湾ドルに対する日本円のオーバーウェイトを維持する。日本円のオーバーウェイトは、日本のインフレ率の上昇を受けて日銀が10年国債利回り目標を引き上げるか、世界の金融市場が下落して安全通貨としての日本円への需要が高まるかのいずれの場合でも恩恵を受けるだろう。一方、台湾は米国発の貿易紛争による影響を非常に受けやすい。



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