House View Weekly 貿易摩擦が好調な米決算の重石に

国内経済が堅調な反面、貿易摩擦が深刻化するなか、米企業の第2四半期決算発表シーズンが始まった。これまでに決算を発表した企業の約90%で売上高と収益のいずれもが事前予想を上回り、その上振れの程度も平均を超えた。だが、好調な収益による株式へのプラスの影響が、貿易摩擦のマイナスの影響に相殺されてしまうことへの懸念を投資家は抱いている。

16 7 2018

今週の要点

不安定だった今年上米国の決算シーズンは好調が予想されるが、先行きについては懸念も

期が終わり、ポートフォリオの強化が改めて必要になっている米国では4-6月期(第2四半期)の決算発表シーズンが始まり、今週は62社が発表を予 定している。第2四半期の企業利益は7年ぶりの高水準となる23%の伸びを示す見通 しで、昨年の法人税率引き下げの効果を除外しても伸び率は15%に達する見込みだ。 企業利益加速の背景には、安定した経済成長や高水準にある企業景況感および消費 者信頼感、緩和的な資金調達環境等がある。だが、投資家の注目は決算の数字のみ ならず企業の最高責任者の発言にも向けられるだろう。米連邦準備理事会(FRB)は 貿易摩擦をめぐる懸念が企業景況感に影響し始め、投資と雇用に打撃を与えかねな いと指摘している。この先数四半期間の利益予想が下方修正されれば、今回の好調な 決算発表シーズンに水を差す結果となる可能性もある。

要点:我々はMSCIオール・カントリー・ワールド指数のほぼ半分を占める米国株式につ いて強気な見方を維持しており、グローバル株式をオーバーウェイトとする。ただし、 リスクが高まっていることから、テール・リスク(確率は低いものの、発生すると巨大な 損失をもたらすリスク)に備えた戦略を推奨する。

トランプ米大統領の強硬な貿易戦術がリスクを高める

先週、米国政府は10%の追加関税の対象となる2,000億米ドル相当の中国製品のリス トを公表した。これに対して中国政府も即座に報復措置で対抗する構えを示している。 今や貿易摩擦は言葉の応酬から実際に措置を取る段階へと移行しているように見受け られる。米国は最終的に年間の中国製品の輸入額5,000億米ドル余りに相当する中国 製品に関税を課す可能性もあると警告しており、そのリスクは徐々に現実味も増してい る。こうした事態が実際に生じた場合、米国のGDPは0.25%ポイント程度、中国のGDPは 最大で0.5%ポイント減速する見通しだ。成長への直接的な影響とインフレ率押し上げ 効果以外でも、これは企業が投資と雇用を先送りする要因となりかねない。また、米国 の強硬姿勢は自動車をめぐるユーロ圏との貿易交渉の見通しも不透明にしている。米国 は欧州連合(EU)からの輸入自動車すべてを対象に、関税率を現行の2.5%から20%に 引き上げるとの意向を示しているが、これが実際に行われれば、MSCI EMU指数の企業 利益の伸びは年内に7%程度から4%に低下する可能性がある。よって、ポートフォリオ に反景気循環的ポジションを組み込む必要があると考える。

要点:グローバル株式へのエクスポージャーは、反景気循環的ポジションでバランスを 取り、貿易戦争をめぐるテール・リスクにある程度備えるべきである。我々は米ドルに対 し円をオーバーウェイトとする。

ユーロ圏の回復で世界経済の成長基盤がより確固としたものに

ユーロ圏成長の一時的な低迷は終了したように思われる。ドイツの製造業受注と
ユーロ圏鉱工業生産の堅調な結果に続き、先週発表された圏内の住宅価格の上昇率 も2007年以降の最高水準を示した。これが個人消費のさらなる拡大に寄与するだろう。 また、米国が世界成長の唯一のけん引役であるために世界経済が不均衡になるとの懸 念も後退すると予想される。こうした足元の情勢を背景に、2月に付けた直近高値から対 米ドルで6.5%下落しているユーロは今後緩やかに回復するとみている。ユーロ圏経済 のモメンタム回復により、欧州中央銀行(ECB)が年内に量的緩和を終了するという計画 も実行しやすくなるだろう。

要点:我々はユーロが米ドルに対し今後3カ月で現在の1.17米ドルから1.20米ドルに、 今後6カ月では1.25米ドルに上昇すると予想する。




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