House View Weekly 貿易戦争:脅しが現実となるか?

貿易戦争は大部分は現実というより言葉の応酬であり、我々は堅調なファンダメンタルズを受けて世界の株式は今後も上昇すると予想している。しかし、引き続き貿易をめぐる対立を注視し、リスクシナリオが現実化した場合に備えて反景気循環的なポジションを取ることが賢明だと考える。

02 7 2018

今週の要点

混迷する貿易関連の発言に市場のボラティリティは高まる見通し

米政府の貿易政策が混迷するなか、今週は日中2%近い株価の変動が見られた。直 近では、米政府は中国企業の対米投資を全面的に締め出すのではなく、的を絞って 制限する方針に転換した模様だ。しかし、保護主義政策の脅威は消えておらず、米国 は依然として2,000億米ドル相当の中国製品やEUからの輸入自動車に対する関税 適用を検討している。このため、市場のボラティリティ(変動)は今後も継続する見通 しだ。我々は株式をオーバーウェイトとしているが、投資家には長期高格付債への 十分なポジションと、世界的な分散投資を推奨する。

要点 : 我々は、キャッシュに対し米 10 年国債をオーバーウェイトとする。また、米ド ルに対し円もオーバーウェイトとする。このポジションは通常、株式市場の調整局 面で好調なパフォーマンスを示すからだ。

米国の追加関税に中国が大幅な通貨切り下げで対抗する可能性は低い

中国政府は、米国の保護主義政策に報復措置で対抗する姿勢を幾度となく示して いる。習近平国家主席は「、我が国の文化では殴り返す」と発言したとも報じられて いる。中国は先週、貿易摩擦による国内経済への打撃を最小限に抑えるため、1,000 億米ドルを超える追加流動性の供給を行っている。今週は、人民元を6カ月ぶりの安 値水準となる1米ドル=6.6元( 2週間で3.5%の下落)に誘導した。中国が2015年に 実施した通貨切り下げはグローバル市場でリスク回避の動きを招いたが、今回は資 金流出のリスクから、中国は大幅な切り下げは避けるものと我々は予想する。中国の 外貨準備は、2015年の通貨切り下げ後12カ月間で4,000億米ドル超減少した。

要点 : 貿易面のリスクと経済成長の減速により人民元は下落する可能性がある が、それが表面化するのは対米ドルではなく貿易加重ベースとなりそうだ。我々 は、米ドル / 人民元の 6 カ月予想を 6.3 元とする。

新興国市場についてはまだ慎重

貿易摩擦の矢面に立っているのは新興国市場の資産であり、MSCI新興国指数の パフォーマンスは先進国市場を年初来で8%ポイント下回っている。新興国市場 の企業収益は今後12カ月間で14%伸びると我々は予想しており、予想株価収益 率(PER)は11倍と過去10年間の平均水準並みだ。しかし、まだ最悪の時期を脱し たとは言い切れない。 2月半ば以降、貿易加重ベースで7.5%上昇している米ドル が逆風となっている。また、世界的な貿易摩擦も改善に向かう前に一段と悪化す る可能性がある。長期的な見通しは良好ながら、今後数カ月間は新興国市場に 対して慎重姿勢が求められる。

要点 : 我々は新興国株式をニュートラルとする。また、米ドル建ての新興国国債の オーバーウェイトを縮小した。




資産運用のご相談・お問い合わせはUBS銀行へ

UBSウェルス・マネジメントでは、富裕層のお客様の資産管理・運用を総合的にサポートしております。日本においては、2億円相当額以上の金融資産をお預け入れくださる方を対象とさせていただいております。