House View Weekly 転換点に道標

10月と11月に株式相場は急落したものの、依然として強気相場であることには変わりないと我々はみている。しかし、政治、中央銀行、経済的リスクに対する投資家の見解は転換点にきており、G20首脳会議と金融引き締めペースに関する米連邦準備理事会(FRB)のガイダンスが投資家の見解の重要な転機になる可能性がある。

03 12 2018

1. 米中が貿易紛争を一時休戦

注目されていた米中首脳会談が1日に実施された。米中の貿易を巡る緊張が緩和するとともに、交渉の継続が確認された。米政府は、交渉を継続する間、来年1月1日から2,000億ドル相当の中国製品に対する関税を10%から25%に引き上げる計画を猶予すると発表した。その見返りに、中国は米国から農産品やエネルギー、工業製品を「相当量」購入することで合意した。この結末は、我々の基本シナリオよりもポジティブな展開であり、先週の株式市場のセンチメントの回復をさらに押し上げるだろう。トランプ米大統領は中国との二国間会談を「素晴らしく生産的なもの」だったと述べているが、知的財産と市場へのアクセスの問題を中心に、米中の対立は簡単には解消されないと我々は考えている。交渉決裂は引き続き市場とグローバル経済にとってのリスクとなる。今回の会談の成果は我々の緩やかなリスクオンのスタンスの後押しとなる。よって、グローバル株式へのオーバーウェイトを維持するとともに、反景気循環的なポジションでバランスを取る。

要点:我々はグローバル株式をオーバーウェイトとしている。ただし、相場の変動が高まると予想されることから、日本円のオーバーウェイトなど、リスク回避局面でアウトパフォーマンスが見込まれる反景気循環的なポジションも保有する。

2. パウエルFRB議長の発言が株式市場を後押し

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は28日、米国の金利は中立水準を「わずかに下回る」水準にあるとの見解を示した。この発言はハト派的と捉えられ、同日のS&P500種株価指数は2.3%上昇。1日の上昇率としては3月以降で最大となり、年初来でも2番目に高かった。「中立金利には程遠い」と述べた10月初旬の議長発言に比べてかなりハト派に転じたと市場では好意的に受け止められた。また、FRBが「今後発表される経済統計や金融統計の内容」を注視していくことも強調し、景況感が落ち込んだ場合は利上げが見送られる可能性も示唆された。最後に、パウエル議長は株式市場にバブルの兆候は現れていないとの認識を示した。予想株価収益率(PER)が過去と比較しても高水準ではないという我々の見解とFRBの見方は一致しており、米国市場は、コンセンサスを下回る我々の企業業績予想をベースにしても、30年間の中央値付近で取引されている。全体として、パウエル議長の発言は、最近の値動きが示唆するよりも株式市場の見通しは良好とする我々の見解を裏付けるものである。

要点:我々は米国10年国債をオーバーウェイトとしている。米国10年国債にはFRBによる利上げペースが概ね織り込まれていると考えるからだ。

3. 原油価格の反発は単なる始まり

WTI原油価格は3日、大幅反発となった。主要20カ国・地域(G20)首脳会議で石油輸出国機構(OPEC)とロシアが協力して原油価格の下落を食い止めることで一致したことや、カナダのアルバータ州が減産命令を下したことが背景にある。カタールがOPECを来月から脱退すると表明したが、同国の産油量がOPEC全体に占める割合は低いため、市場のセンチメントは冷え込まなかった。ただし、今週の会合を前にOPEC内の足並みの乱れが示唆された。直近の原油価格の上昇は、今後の持続的な回復の始まりに過ぎないと我々は考えている。10月上旬以降30%近く下落した結果、ほとんどのOPEC加盟国の財政収支に必要とされる原油価格を下回る水準まで低下している。また、2014年後半にOPECが減産を見送ったため、原油価格がわずか数カ月で1バレル45米ドルと、半値以下まで急落したことも記憶に新しいところである。我々は12月6–7日にウイーンで開催される会合で、OPECプラスが減産規模を日量100万バレル超で合意すると予想している。この結果、原油価格は安定し2019年は堅調に回復するだろう。またイランに対する米国の制裁を受けて、世界の供給はここ数カ月で減少するとみられる。

要点:我々は原油価格の見通しを若干引き下げた。とはいえ、6カ月後の原油価格は1バレル=80米ドル、12カ月後は75米ドルを予想している。利回りが魅力的な湾岸協力会議(GCC)加盟国の米ドル建て債券に投資価値があるとみている。




資産運用のご相談・お問い合わせはUBS銀行へ

UBSウェルス・マネジメントでは、富裕層のお客様の資産管理・運用を総合的にサポートしております。日本においては、2億円相当額以上の金融資産をお預け入れくださる方を対象とさせていただいております。