House View Weekly 転換点の兆候を探す

10月上旬以降、株式相場は大きく変動している。ここ8週間のボラリティティ(相場変動)に続き、今後、市場が反発するか、それとも一段と下落するかは政治リスク、中央銀行の政策、今後発表される経済統計次第だろう。

26 11 2018

1. 試練に直面する株式市場のセンチメント

先週、グローバル株式は2日間で2.6%下落し、年初来ピークからの下落率は10%近くに達した。今回の下落はスマートフォンの売り上げの伸びの減速に加え、米国の小売企業の業績不振、米国住宅市場の軟化の兆候に対する長引く懸念を反映したものだ。その結果、株式のバリュエーションは割安水準になっている。新興国市場の現在の予想株価収益率(PER)は11倍前後と、30年平均の13倍に対して割安だ。ユーロ圏のPERは長期平均の14倍に対して12倍となっている。米国では、米中の関税引上げ第一弾による企業利益への影響を考慮しても、2019年の利益予想をベースにしたPERは約16倍と長期平均をわずかながら上回る。しかし、今週開催されるG20サミットにおけるトランプ大統領と習近平国家主席の会談で、市場は重大な局面を迎えるだろう。中央銀行からの流動性の供給が減少する中、報復措置の応酬が続いた場合には、世界経済への政治のサポートに対する市場の信頼感が損なわれるおそれがあるからだ。

要点:我々はグローバル株式をオーバーウェイトとしている。しかし、貿易摩擦の激化が市場センチメントを損ねるリスクを引き続き注視していく。

2. クレジット投資の落とし穴を回避

原油価格の下落に続き、株式のリスクオフムードが先週になってクレジット市場に広がった。米国投資適格債のスプレッドは4ベーシスポイント(bp)、ハイイールド債のスプレッドは11bp拡大し、ユーロ圏の投資適格債は6bp、ハイイールド債は14bp拡大した。年末までにパフォーマンスが改善しなければ、2008年以降で初めて当該4資産クラスの年間リターンが全てマイナスになる。我々はこのマイナスリターンを特に警戒する理由はない。今後12カ月間のデフォルト率は低水準にとどまり、米国のハイイールド債については2.5%、ユーロ圏については2%を予想している。しかし、景気サイクルの成熟化に伴い、投資家はボラティリティ(相場変動率)の上昇に備えておいた方がよいだろう。我々はボラティリティを緩和するために、格付の高いクレジットを推奨する。格付が高い米ドル建てBB格債はB格債をアウトパフォームするだろう。さらに、ここ数年でクレジットリスクを高めていた投資家は、米ドルで先週0.1%のリターンをもたらした高格付債へのポジションのシフトを検討できる。

要点:我々は戦術的資産配分において、クレジットをニュートラルとしている。同資産クラスはバランスの良いポートフォリオにとって重要な戦略の一部である。我々は投資家に対し、リスク調整後リターンを最大化する戦略の検討を勧める。

3. どれもうまく行かない時のアドバイス 

市場全体が通常以上に落ち込んでおり、株式に加え、ユーロ圏と米ドル建ての債券も急落した。信頼できる安全資産とされる米国債や金でさえ、余り効果を発揮しなかった。さらに、ビットコイン(過去1カ月で-29%)などの難解な投資商品はさらに大幅に下落している。ほとんどの資産クラスが一様に下落する時期は通常短いが、不安を煽るものである。このような時には、強固なポートフォリオの構築が最良の防衛策である。我々は分散投資に加え、長期トレンドの恩恵を受ける企業への投資を推奨する。我々の推奨する長期投資には再生ロケット技術と医療機器が含まれる。明確なヘッジも信頼できる防衛策になりうる。費用対効果でみると現在、ハンセン中国企業指数(H株)が比較的割安な防衛策を提供するようだ。ヘッジファンドへの適度なエクスポージャーも有効であり、先進国のマクロファンドなど一部のマーケット・ニュートラル戦略も好調である。

要点:年初来、プラスのリターンを上げている投資は少ない。長期トレンドを重視し、明確にポートフォリオをヘッジし、ヘッジファンドに着目することがポートフォリオの分散投資の強化に役立つ。




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