House View Weekly 金利上昇局面における投資

先週、米連邦準備理事会(FRB)は政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き上げて2–2.25%とした。大方が利上げを予想していたことから、ほとんどの金融市場への影響は軽微だった。しかし、利上げ後、米ドルの現金と現金同等物にかかる金利はたちまち上昇した。現金にかかる金利の上昇は、リスク調整後では債券、株式、不動産などの資産に投資するよりも現金を保有する方が投資妙味があることを意味し、一部の投資家に投資のポジションの見直しを迫っている。

01 10 2018

今週の要点

1. 米国10年国債の利回りの上昇余地は限定的

米連邦準備理事会(FRB)が全員一致で2.25%への利上げを決定したのに先駆けて、米国10年国債の利回りは先週、7年ぶりに3.11%の高い水準に達した。ここ数週間で利回りが上昇したものの、ここからの大幅な上昇は予想していない。米国10年国債の利回りは現在のFRBの利上げサイクルを概ね織り込み済みである。構造的な変化も長期金利の重石となっており、生産性の鈍化と人口の伸び悩みが米国のトレンド成長率を圧迫している。FRBはニュートラルな金利は3.0%と推定している。さらに、機関投資家の債券需要の高まりによりタームプレミアム(期間にともなう上乗せ金利)が低下し、これも長期金利の押し下げ圧力となっている。

要点:サイクルが成熟する中で、米国10年国債など長期の米ドル建て高格付債の魅力は高まり、貿易摩擦が悪化すれば恩恵を受けるだろう。我々は米国10年国債をオーバーウェイトとしている。

2. 不動産所有者への金利上昇リスク

過去40年にわたり、不動産市場では金利の上昇が調整局面のきっかけとなってきた。このため、香港金融管理局がFRBに追随して2006年以来初めて利上げに踏み切り、基準金利を2.5%に引き上げた点が注目される。UBSの「グローバル不動産バブル指数」は明らかに割高な領域にある不動産市場を特定したが、それによると価格上昇率トップは香港であり、2012年以降の年間上昇率は10%に達している。ただし、ミュンヘンやトロントを含む多くの金融センターが住宅バブルのリスクにさらされているものの、現在の状況が2008年の金融危機に匹敵するとは考えていない。住宅ローン件数の増加率は金融危機前の半分であり、調整局面に突入したとしても経済的な打撃は限定的だろう。

要点:割高な不動産市場に投資している投資家は、中長期における実質的な価格の上昇は期待できないだろう。

3. 原油価格の上昇が追い風となるエネルギー株

石油輸出国機構(OPEC)が増産を明言せず、米国に戦略的石油備蓄を拠出する計画がない中で、ブレント原油は1バレル=82米ドル台と、4年ぶりの高値を記録した。我々が警戒している主なリスクの1つは、原油供給ショックであり、原油価格は1バレル=100米ドル台に跳ね上がるおそれがある。予想を上回る供給途絶が発生すれば、このリスクが現実化するだろう。例えば、イランからの原油輸出の減少が我々の基本シナリオである日量100万–150万バレルを上回る200万バレル程度となったり、政局不安を受けてリビア、ナイジェリア、ベネズエラの供給がさらに減少するなどの事態である。ちなみにこの3カ国の8月の産油量は合計で日量380万バレルだった。この場合、サウジアラビアとその同盟国は不足分を埋めるため増産に踏み切るだろうが、余剰能力が極めて低いことから、将来の供給不足に対するOPECの対応能力は非常に限定されるだろう。我々は基本シナリオとリスクシナリオの両方で原油価格の上昇を予想しており、よって欧州と米国のエネルギー株を推奨する。

要点:欧州と米国のポートフォリオ内では、世界の原油供給ショックのリスクに対するプロテクションとなるエネルギー株を推奨する。




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