House View Weekly 新興国市場にポジティブになるには時期尚早

新興国市場への圧力が続くなか、MSCI新興国指数は1月のピークから19.8%低下し、弱気相場の領域に近づいている。新興国市場の混乱の元凶であるアルゼンチン・ペソとトルコ・リラは相場の大幅な変動が続き、年初来の下落率はペソが50%、リラは41%にのぼっている。新興国の下落を受けて、2つの疑問が浮上している。第一に、下落局面は成長市場を破格の割安水準で買う魅力的な機会をもたらすか?第二に、新興国の影響が世界中の市場に波及することを懸念すべきか?

10 9 2018

今週の要点

  1. 新興国市場への投資を再開するには時期尚早 
    新興国株式は1月26日にピークをつけた後19.8%下落し、弱気相場の領域に近づいている。新興国株式のバリュエーションは主要市場の中で最低水準にある。MSCI新興国指数の12カ月実績株価収益率(PER)は12.5倍と、30年間の平均である15.6倍、米国株式の19.6倍、欧州株式の14.3倍をいずれも大幅に下回っている。しかし、新興国市場に対して強気に転じるには時期尚早だろう。米ドル高が継続し、米国金利が上昇する局面では、新興国から海外資金が流出し、金融・経済の悪化につながる懸念がある。また、中国経済には減速の兆しが表れ、今年上期の固定資産投資は18年ぶりの最低水準に落ち込んだ。トルコとアルゼンチンの通貨危機の影響でセンチメント悪化が続く可能性も高い。

    要点:新興国株式についてはニュートラルを維持する。トルコとアルゼンチンの通貨危機は通貨に関して過剰なリスクを抑える重要性を浮き彫りにしている。新興国の米ドル建て国債は、新興国債券指数(EMBIGD)の利回りが6.5%と高く、為替リスクも限定されることから、こうした局面では有効な投資機会を提供する。

  2. 自国周辺のリスクを過小評価しない
    欧州の投資家は新興国からの波及的影響に目を光らせているが、自国周辺にも他のリスクが潜んでいる。ブレグジットをめぐる交渉を受けて、ユーロ/英ポンドの10日間ボラティリティ(変動率)は4カ月ぶりの最高水準に上昇した。イタリアでは予算案のEU規則順守をめぐる懸念が再浮上しており、イタリアとドイツの10年債利回りのスプレッドは今週10日に今年の最高水準に迫る255ベーシスポイント(bp)を記録した。米国とEUの貿易摩擦も解消されておらず、国や地域、セクター単位で市場の潜在的リスクの影響を受ける恐れがある。ユーロ安に加え、経済統計が予想を下回るほど軟調ではなかったにもかかわらず、欧州株式は今月に入り1.5%下落している。

    要点:分散投資は個別リスクへの過剰なエクスポージャーを防ぐ唯一の方法である。戦術的資産配分をめぐる不確実性から、我々はリスク資産に対しておおむねニュートラルな姿勢を維持する。

  3. サステナブル(持続可能な)投資
    総額1兆米ドルの政府年金基金を運用するノルウェー銀行インベストメント・マネジメントは今週、持続不可能なビジネスモデルを掲げる企業からの投資撤退は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献する方法の1つだと指摘した。ノイズに惑わされず中長期的な投資スタンスでパフォーマンス目標の達成を目指す投資家にとって、サステナブル投資は今後広く定着していく重要な投資機会と考える。今年に入り世界各地で25億米ドルを超える新たな資金がサステナブル上場投信(ETF)に流れており、同資産クラスの総投資額は190億米ドルに近づいている。欧州で提案されている汎欧州個人年金商品(PEPP)には、複数の持続可能な投資要件が含まれる見通しだ。さらに先週は世界最大のグリーンボンド(環境問題対策になる取り組みに使途を限定して発行される債券)発行体である欧州投資銀行が、同行初のサステナビリティ・ボンド(環境及び社会プロジェクト双方への融資に充てられる債券)を発行した。

    要点:我々のマルチアセット・サステナブル投資は、ESG基準に見合わない企業やセクターをポートフォリオから排除するエクスクルージョン、ESG情報を投資先判断に加えるインテグレーション、テーマ投資やエンゲージメント戦略など様々なサステナブル投資の手法に加え、伝統的な金融情報と指標を採用し、さらに環境・社会・ガバナンス(ESG)の要素も投資判断に組み入れて、伝統的な投資戦略に匹敵するかそれを上回るリターンの達成を目指す。



資産運用のご相談・お問い合わせはUBS銀行へ

UBSウェルス・マネジメントでは、富裕層のお客様の資産管理・運用を総合的にサポートしております。日本においては、2億円相当額以上の金融資産をお預け入れくださる方を対象とさせていただいております。