House View Weekly トルコ危機の新興国市場への影響

トルコ資産に下方圧力がかかり世界の金融市場に悪影響を及ぼしたほか、米国株の上昇に歯止めがかかり、他の新興国市場も低迷している。ただし、MSCI新興国指数に占めるトルコの割合は1%未満、新興国国債の指数であるEMBIディバーシファイド指数に占める割合も3.2%に過ぎない。それなのに、なぜトルコは世界の市場にこれ程の影響を与えているのだろうか?

13 8 2018

今週の要点

1. 米ドル高は続く見通し

主要通貨に対する米ドルの値動きを示すDXY指数は先週、14カ月ぶりの高水準を記録し、2月につけた今年の最低から9%近く上昇した。昨年の急落から一転しての今回の米ドル高は、米国の経常赤字と財政赤字の拡大とは矛盾するように見える。だが、双子の赤字が最終的には米ドルの押し下げ要因となり、欧州の金融政策の正常化がユーロを下支えするとの我々の見方は変わらないが、短期的には今後3カ月でユーロ/米ドルが1.10までさらに(ユーロ安方向に)下落すると我々は予想している。今年前半は世界経済が足並みを揃えて成長すると予想していた。ところが、景気の面で米国のリードは拡大し、第2四半期のS&P500種株価指数構成銘柄の増益率は25%に達し、欧州の7%を大きく引き離した。少なくとも11月に行われる米国の中間選挙までは世界の貿易摩擦が続き、安全資産としての米ドルに資金流入が続くと思われる。

要点:来年の米ドルの予想値を引き上げる。我々は、ユーロ/米ドルは今後3カ月で1.10に下落し、6カ月後については、現在の1.14から1.15(従来予想は1.25)へと小幅の上昇にとどまるとみている。

 

2. トルコ以外の新興国市場にも不安定な動きが波及

トルコ市場の混乱は、トルコが抱える巨額の経常赤字(対GDP比6.3%)と中央銀行の独立性の懸念を反映した、トルコ固有のものである。ところが、米ドル高と米国金利の上昇に伴い、アルゼンチン、南アフリカ、インドネシアなど巨額の対外赤字を抱える国を筆頭に、他の新興国市場でも混乱が生じている。新興国株は弱気相場の領域に近づき、新興国通貨と現地通貨建ての国債の年初来下落率も10%を超えている。世界の貿易摩擦と経済成長をめぐるリスクが他の新興国資産の見通しにも影を落としているが、我々は米ドル建ての新興国国債を推奨する。この資産クラスの利回りは6.5%と、過去10年間のレンジの上限に近いうえ、発行体数も67を数え、分散投資の面でも優れている。

要点:我々は米ドル建て新興国国債をオーバーウェイトとする。魅力的な利回りに加え、新興国の政府債務は平均で対GDP比49%と、先進国の82%に比べて相対的に低水準である。

 

3. 人民元安がリスクだが、悪化することはないだろう

人民元は先週、対米ドルで7.0に下落した後、反発した。4月中旬以降の9%の下落は、主に米ドルの上昇モメンタムによるものだ。中国の経済成長の鈍化も人民元に影響し、固定資産投資の伸び率は1992年の統計開始以来最低を記録した。中国の対外収支の悪化も人民元の支援材料を1つ減らす結果となった。米国が関税拡大による報復措置に乗り出すリスクがある以上、投資家は人民元安を注視する必要がある。我々は、今後も元安基調が続き、12カ月後の対米ドルレートは7.0になると予想している。しかし、米中の通商関係が悪化した場合を中心に、人民元の下振れリスクを想定している。

要点:今後3、6、12カ月の米ドル/人民元は7.0を予想する。




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