House View Weekly 投資家は人民元の下落を懸念すべきか?

CIOは引き続き貿易摩擦の悪化をベースシナリオとしている。よって、人民元への下振れ圧力が長引く可能性が高いことから、3カ月、6カ月、12カ月後の米ドル/人民元を7.0に修正した。

13 8 2018

今週の要点

1. 市場リスクを抑える米国の好調な企業収益
S&P500種株価指数は1月に記録した最高値をわずか1%下回る水準で週を終えた。株式の期待ボラティリティ(予想変動率)を示すVIX指数の終値は1月以来で初めて11を下回った。この主因は米国の好調な企業収益にあり、引き続きリスクが存在するにもかかわらず、4-6月期(第2四半期)は25%の増益率が見込まれている。中国は先週、米政府が2,000億米ドル相当の中国製品に25%の関税を発動した場合に、報復措置として中国側が関税率を引き上げる米国製品を発表した。第2四半期の業績発表シーズン中、欧米企業192社がビデオ会議で関税に言及し、そのうち17%はサプライヤーを変更し14%は事業拠点の移転を始めていると述べた。

要点:貿易紛争をめぐり不確実性が高い中、我々はリスク資産についておおむね中立を維持する。

2. 人民元は不安定なものの、世界的な問題にはなっていない
我々は米ドルに対する人民元の今後3カ月、6カ月、12カ月のレートを7.0に(人民元安方向に)修正した。中国の今年上期の経常赤字が20年ぶりの高水準に達し、米国との短期金利の差も年初の320ベーシスポイント(bp)から55bpに縮小した。元の下落は米国による関税引き上げの影響緩和に役立つ。しかし、米国の怒りを買い、市場を混乱させる資本流出を招かないよう、中国政府は一定の水準で歯止めをかけるだろう。このため元の下落が加速したり、グローバル市場を不安定にする事態は予想していない。

要点:投資家には人民元のエクスポージャーを抑えることを勧める。状況を注視していくが、グローバル市場への波及リスクは抑えられそうだ。

3. 各国固有の政治リスクで分散投資の効果が鮮明に
先週に入って各国固有の問題が増加しており、ホームバイアスが強い(自国の金融資産への投資比率が高い)投資家に警鐘を鳴らした。米国の制裁を受けてトルコ市場への圧力が高まり、トルコ・リラは今年に入って対米ドルで40%下落している。さらに、ロシアに対する米国の新たな制裁を受けてルーブルが2年振りの安値に下落した。一方、5月にイラン核合意から離脱した米政府による対イラン経済制裁も再開された。さらに、英国のEU離脱交渉が決裂するのではとの懸念が広がる中、ポンドは対米ドルで12カ月ぶりの安値水準に落ち込んでいる。これらの政治的リスクがグローバル市場に長期的な影響を及ぼすとは考えていないものの、ホームバイアスが強い投資家や1つの国に集中投資している投資家には打撃となるおそれがある。

要点:各国固有のリスクによる相場下落の影響を抑えるために、世界的な分散投資を推奨する。




資産運用のご相談・お問い合わせはUBS銀行へ

UBSウェルス・マネジメントでは、富裕層のお客様の資産管理・運用を総合的にサポートしております。日本においては、2億円相当額以上の金融資産をお預け入れくださる方を対象とさせていただいております。