• S&P500種株価指数構成銘柄の2021年1-3月期(第1四半期)の1株当たり利益(EPS)は、四半期ベースでは過去最高値を更新する見通しである。米国経済が新型コロナウイルス前の水準にまだ戻っていない現状を踏まえると、目覚ましい結果であり、前年同期比の増益率は30%近くに達するものと我々は予想している。
  • 企業利益は我々の予想を上回るペースで回復を続けているため、2021年、2022年のS&P500種構成企業の通年EPS予想をいずれも5米ドル引き上げ、それぞれ187米ドル(+31%)、210米ドル(+12%)に上方修正した。2022年予想は法人税増税の影響を織り込んでいるが、想定している増税幅はバイデン大統領が提案している引き上げ幅の約半分の水準である。
  • 今年の米国株式は好調なスタートを切り、S&P500種株価指数は年初来で11%近く上昇している。EPS予想の上方修正により、S&P500種の今年年末の目標値については4,400ポイントに引き上げた。ただし、ここから年末までは上昇ペースがやや穏やかになると予想する。
  •  バリュー株とシクリカル(景気敏感)株へのローテーション(運用資金の移動)はここ数週間で逆転したものの、今後数カ月以内に再びこのトレンドに戻ると予想している。米国の国内総生産(GDP)成長率は少なくとも2022年末までは過去トレンドを上回ると予想され、こうした力強い成長見通しを背景にバリュー株とシクリカル株が市場をアウトパフォームするものと見込まれる。

決算発表は良好な滑り出し

今週から米企業の第1四半期決算発表が始まるが、我々は今期も好調な業績結果を予想している。ボトムアップでのアナリスト予想は今期もかなり低めで、コンセンサス予想の第1四半期業績は前四半期比で6%近く低下すると見込まれている。第1四半期中に政府が2回の景気刺激策を導入し、ワクチン接種も加速している現状を踏まえると、これは非常に保守的な数字に思われる。米国疾病管理予防センター(CDC)によると、米国では成人の47%が少なくとも1度はワクチン接種を済ませており、1日当たりの平均ワクチン投与数は300万回を超えるという。

さらに、経済活動の持ち直しを示すデータも相次いで報告されている。年初からの3カ月で160万人を超える雇用が創出され、米供給管理協会(ISM)景況指数に代表される企業の景況感はかつてないほどに強く(図表1参照)、消費者信頼感も明らかに改善している。さらに、小売売上高など一部の指標はすでに過去最高水準に達している。その結果、企業業績は第1四半期も事前予想を大きく上回り、四半期利益は過去最高に達する見通しである。四半期ベースでの前年同期比増益率は30%近くに達するものと見込まれる。

 

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