• 2020年4-6月期(第2四半期)のサステナブル戦略は、第1四半期に引き続き、伝統的な投資手法をアウトパフォームしている。
  • 新型コロナウイルス危機下で、社会的問題が企業にとって財務的マテリアリティ(重要課題)であることが実証されるなか、投資家の社会(S)ファクターに対する注目度が高まっている。
  • 世界のインパクト投資市場は今年も急成長を続けており、市場規模は7,150億米ドルに達している。

第2四半期もサステナブル戦略はアウトパフォーム

サステナブル投資は、市場が大きく混乱した2020年1-3月期(第1四半期)にレジリエンス(耐性)の高さを示したが、続く第2四半期も伝統的な投資手法をアウトパフォームした。

第2四半期のパフォーマンスについては、モーニングスターがサステナブル関連株式ファンドに分類した212のファンドのうち56%が、同社の各カテゴリーを上回った。年初来累計では、サステナブル関連ファンドの72%が同社の各カテゴリーのパフォーマンス上位50%にランクインしている。こうした運用成績の好調さは、サステナブル指数にも示されている。MSCI ESGリーダーズ指数シリーズは、各カテゴリーの親指数をアウトパフォームした(図表1参照)。モーニングスターによると、第2四半期はグローバル・サステナブル指数に連動する26のファンドのうち18ファンドが、各カテゴリーの親指数を上回るパフォーマンスを計上し、年初から見ると、全26ファンドが親指数をアウトパフォームした。1

モーニングスターによると、第2四半期のサステナブル指数ファンドのパフォーマンスをけん引した主な要因は「個別銘柄の選定」であり、米国株式ユニバースのパフォーマンスに112ベーシスポイント(bp)寄与した。サステナブル戦略では、従来の指数に対してテクノロジー銘柄をオーバーウェイトに、エネルギーをアンダーウェイトにする傾向にある。テクノロジー銘柄の投資比重を高めたことで、米国株式のサステナブル指数ファンドのパフォーマンスに24bp寄与した。

第1四半期はS&Pエネルギー指数のパフォーマンスがS&P500種株価指数を上回る結果となり、エネルギー銘柄のアンダーウェイトは全体のパフォーマンスを13bp押し下げた。このようにセクター配分を調整した影響もあったが、環境・社会・ガバナンス(ESG)スコアの高い銘柄を選定して投資したことが、サステナブル投資ファンドの相対パフォーマンスの重要なけん引役となった。

また今年上期は、「特化型」のサステナブル投資戦略もアウトパフォームした。今年前半は環境、ジェンダー、農業、代替エネルギーなどのテーマに基づくESGテーマ指数がいずれも、従来の指数を上回るパフォーマンスとなった。

サステナブル債券戦略は、幅広い種類の債券にわたり底堅いパフォーマンスを示した。年初からのICE BofAグリーンボンド指数の絶対パフォーマンスは4%となった。国際開発金融機関(MDB)中期債の米国債に対するスプレッドは約15bpと、引き続き魅力的な水準にある。市場の混乱とリスクプレミアムの拡大がピークとなる中、グリーンボンドとMDB債は分散ポートフォリオの中でディフェンシブ戦略として機能した。

要点

  • サステナブル戦略は、急落と急反発という2つの対照的な市場環境を通じて底堅く推移した。不透明感とボラティリティ(変動率)が高まる相場環境の中でディフェンシブ性を発揮しただけでなく、市場が急回復する局面でも相対的なアウトパフォーマンスを維持できた。
  • サステナブル投資は、引き続き魅力的な潜在リターンを提供する。コロナ危機からの経済復興を気候変動対策と共に進める「グリーン・リカバリー」に対し、多くの政策当局が支持を示しており、これがサステナブル投資を下支えすると見込まれる。
  • グリーンボンドとMDB債が引き続きディフェンシブ性を示す一方、足元の投資環境ではESGハイイールド債が魅力的なクレジット投資機会をもたらすと期待される。
  • 年初来のパフォーマンスは、グロース株とクオリティ株の比重が高いESGリーダーズ戦略がけん引してきたが、多様な戦略を採用すれば、さまざまなタイプの企業や地域に投資を分散できる。

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