• WTI原油5月物は4月20日、過去最低のマイナス37.63米ドル/バレルで取引を終えた。マイナス圏入りは史上初である。
  • WTI先物価格の急落は、5月物の最終決済日が今週21日(火)に迫っていることに関連していると考える。6月物は、北海ブレント、WTIともに現時点で20米ドル/バレルを超えている。
  • 原油市場は供給過剰のため、今後数週間は価格に下押し圧力がかかるだろう。

20日(月)のニューヨーク原油先物市場で、WTI原油5月物は一時過去最低のマイナス40.32米ドル/バレルにまで急落した後、マイナス37.63米ドル/バレルで取引を終えた。WTI先物価格がマイナスになるのは史上初。5月物の期限は21日(火)であるため、明日も再び変動の激しい1日になるかもしれない。

WTI原油5月物の価格急落の原因として、取引量が非常に少なかったことが挙げられる(6月物の約110万枚に対して5月物は15万3,000枚)。決済日での原油の引き取りを避けるため、ここ数日のWTI先物取引はすでに6月物が中心になっており、現時点で6月物の価格は20米ドル/バレルを超えている。

WTI価格がマイナスということは、WTI原油5月物を買い持ちしている投資家が原油を売ることができないか現時点で原油を貯蔵する場所を確保できないため、米オクラホマ州クッシングの原油受け渡し場所で貯蔵できる買い手がいれば、約40米ドル/バレルを支払って原油を引き取ってもらうことになる。米エネルギー情報局(EIA)によれば、先週のクッシングの貯蔵能力はあと2,300万バレルであったが、20日の極端な価格急落から、同地の貯蔵施設がすでに満杯になったか、残りのスペースが他の市場参加者に貸し出されたために利用できない状態になっていることが示唆される。

北海ブレント6月物とWTI6月物も、20日に下押し圧力を受けた。これら流動性の高い先物価格の下落は、4-6月期に供給過剰が深刻化するという原油市場全体の需給問題が背景にある。

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