米国経済 FRBは利下げの可能性を示唆

米連邦準備理事会(FRB)は19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きを決定した。FOMCの経済見通しとパウエルFRB議長の記者会見は予想以上にハト派寄り(緩和的)だった。よって、我々は7月31日のFOMCで50ベーシスポイント(bp)の利下げを予想する。

19 6 2019
  • 米連邦準備理事会(FRB)は19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きを決定した。
  • FOMCの経済見通しとパウエルFRB議長の記者会見は予想以上にハト派寄り(緩和的)だった。
  • よって、我々は7月31日のFOMCで50ベーシスポイント(bp)の利下げを予想する。

米連邦準備理事会(FRB)は19日、政策金利の据え置きを決定し、今後の金利引き下げの可能性を示唆した。

1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、金融政策に対する「辛抱強い」スタンスを明記し、短期的には政策金利の据え置きの意向を示していた。今回は、「辛抱強い」という表現を削除し、先行きの不確実性が増しているとした。さらに、今後は経済データを注視し、景気拡大を維持するために、適切な行動をとって行くとの方針を示した。この声明文は、FRBが経済データを重視する方針を示し、利下げの決定を容易にするものだ。

FOMCの政策金利見通し(ドット・プロット、図表1)によると、FOMC参加者の今後の利下げ予想と据え置き予想がほぼ半分に分かれていることがわかる。注目すべきは、パウエル議長がFOMC後の会見で、金利据え置き予想を示した参加者ですら、利下げの可能性が以前より高まったことに同意している点に言及したことだ。つまり、FOMCが今後、利下げで意見を一致させることはさほど難しいことではないと考えらえる。

市場は現在、高い確率で7月31日のFOMCでの利下げ決定を織り込んでおり、しかも引き下げ幅は25bpよりも50bpになる可能性が強いとみている。パウエル議長は、現在の状況下で利下げをする際は、最初に大幅な利下げをする方が適切だとの意見を支持している。

過去の事例をみると、市場がFOMC会合前に政策金利の動きを織り込んでいる場合、FRBは市場の期待に沿うような動きをみせている。足元の市場の織り込み具合を踏まえると、FRBは、市場に大きな変動がない限り、7月末の次回FOMCで利下げに踏み切る可能性が高まっている。よって、我々も7月に50bpの利下げ見通しに基本シナリオを変更した。しかし、この判断の境目は微妙であり、金利が据え置かれる確率も依然として高いとみている。

米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席は28~29日の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせて会談し、米中貿易紛争は交渉継続により、一時停戦に収まると我々は予想している。そうなれば、不確実性はやや緩和されるだろう。さらに、我々は、7月末のFOMC直前に発表が予定されている米国の4-6月期(第2四半期)のGDP成長率が潜在成長率を上回ると予想している。もしこれらの見通しが現実化した場合、7月の利下げ確率は低下するだろう。

FRBの金融政策は物価と労働市場の統計内容によっても変わってくるだろう。個人消費の物価動向の指標であるPCEコアデフレーターはここ数カ月は低下傾向にあり、FRBの目標水準である2%を下回っている。市場の期待インフレ率も低下している。こうした物価動向の低迷はFRBに利下げの検討を促す要因の1つである。今後6カ月で物価基調がさらに弱まれば、FRBは利下げに動きやすくなるだろう。

年初来の雇用の伸びは概して堅調で、失業率も低水準を維持しているが、5月の雇用統計は予想を大幅に下回った。6月の統計で回復が示されれば、FRBは利下げを決定する前にもうしばらく景気指標を見守る可能性がある。だが、雇用者数の伸びが10万人を下回ったり、失業率が上昇するような事態になれば、7月利下げの根拠が強まるだろう。




資産運用のご相談・お問い合わせはUBS銀行へ

UBSウェルス・マネジメントでは、富裕層のお客様の資産管理・運用を総合的にサポートしております。日本においては、2億円相当額以上の金融資産をお預け入れくださる方を対象とさせていただいております。