グローバル・リスク・レーダー 米中貿易交渉:対抗姿勢を強めるトランプ大統領

我々は、米中貿易紛争の緊張が高まったため、投資シナリオを変更した。基本シナリオでは、貿易交渉の妥結または貿易紛争の停止が今後6カ月で実現すると想定するが、その過程では何度も暗礁に乗り上げることは必至で、相場が大きく変動する可能性もある。

17 5 2019
  • 我々は、米中貿易紛争の緊張が高まったため、投資シナリオを変更した。
  • 基本シナリオでは、貿易交渉の妥結または貿易紛争の停止が今後6カ月で実現すると想定するが、その過程では何度も暗礁に乗り上げることは必至で、相場が大きく変動する可能性もある。
  • 交渉が決裂し、米国が中国からの残りの輸入品すべてへの関税を引き上げるリスク(30%)も想定している。6月末に予定されているG20大阪サミットで一気に解決に向かう可能性は低い(20%)だろう。
  • 貿易緊張の高まりを予想し、我々は最近、スイス株式に対する新興国株式市場のオーバーウェイトを終了し、米ドルに対する豪ドルのアンダーウェイトを開始した。さらに、多数の反景気循環的ポジションをポートフォリオに保有している。全体としては、リスクに対して中立(リスク・ニュートラル)なスタンスを維持する。
  • 本レポートでは、貿易摩擦がさらに激化した場合にアウトパフォームすると予想される資産クラスについても取り上げる。

米中貿易交渉のシナリオ・ツリー

出所: UBS、2019年5月現在

最近の展開

米中間の貿易摩擦が、ここ数週間で再び激化してきた。今回の米中通商協議で「両国は合意に達するだろう」というのが大方の見方だった。ところがその数日前になって、トランプ大統領は「約束を破った」として中国を非難し、2,000億米ドル相当の中国輸入品に対する関税率を5月10日から引き上げた。これで緊張は一気に高まった。中国は米国からの輸入品600億米ドルに対する報復関税を6月1日から実施すると発表し、ホワイトハウスは、まだ関税を引き上げていないすべての輸入品について、追加関税を発動する準備に入った。ヒアリングとパブリック・コメントのスケジュールから考えると、全輸入品に対する追加関税がかけられるのは早ければ7月になりそうだ。中国メディアは自国政府の強気の主張を報道し、トランプ大統領は発言をさらに激化させた。関税によって受ける経済的苦境から脱するために、トランプ大統領は中国が実施すると予想している利下げに、米連邦準備理事会(FRB)は「合わせる」(利下げをする)よう求めた。とはいえ、米中ともに協議を継続する意向を表明し続けており、トランプ大統領と習近平国家主席は6月下旬に日本で開催されるG20で会談するのではないかとの期待が高まっている。

今後数週間、我々は次の展開を注意深く監視していく。

  • G20首脳会談(6月28-29日):米中が何らかの協定を結ぶか、少なくとも貿易紛争の一時停止について合意して新たな通商協議を計画することができる最も近い機会は、トランプ大統領と習国家主席がG20で首脳会談を行う場合だ。今のところ、どちらも首脳会談が行われると正式には発表していない。
  • 中国企業に対する米国の追加制裁:5月16日、トランプ政権は中国の通信機器大手ファーウェイが、米政府の許可なく米国製品を購入することを禁じた。中国企業に対する新たな攻撃によって、貿易紛争の和解への見通しが悪くなる可能性がある。
  • 米国が中国からの輸入品の残りの物品に追加関税をかける期限を設定する:追加関税提案に関するヒアリング後のコメントの締め切りは6月24日だ。米国政府は、早ければ7月中旬にさらに3,000億米ドル相当の中国製品に課税を課す可能性がある。

また、トランプ大統領は輸入自動車に対する追加関税を最大6カ月先送りすると発表した。米商務省が国家安全保障を根拠に米国の自動車産業を輸入自動車から防衛することを提案していた。




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