新興国債券 新興国債券の200年の歴史から学ぶ

米ドルを主とするハードカレンシー建て新興国債券、その中でも特に新興国国債は過去15年にわたり世界の債券の中でも最も高いパフォーマンスを示してきたことをしばらく前から我々は述べてきた。

04 4 2019

米ドルを主とするハードカレンシー建て新興国債券、その中でも特に新興国国債は過去15年にわたり世界の債券の中でも高いパフォーマンスを示してきたことをしばらく前から我々は述べてきた。過去のレポートの中では、同資産クラスの当該期間のインフォメーション・レシオ(超過リターン(年率)÷超過リターンの標準偏差(年率))が1に近く、これはトータル・リターンとリスク調整後リターンの双方のベースで多くの比較可能な先進国債券をアウトパフォームしたことを指摘した。

最近発表された注目すべき全米経済研究所(NBER)論文「Sovereign Bonds since Waterloo」(Josefin Meyer、Carmen M. Reinhart、Christoph Trebesch共著)は、同資産クラスの185年という非常に長い期間のパフォーマンスの過去分析を行ったものである。著者は1815年のワーテルローの戦い以降の91カ国、1,400のハードカレンシー建て新興国債券の月次価格の時系列データを集積した。データ・ベースは20万件を超える観察データで構成される。

デフォルト(債務不履行)、戦争、世界危機の発生にもかかわらず、ハードカレンシー建て新興国国債のグローバル・ポートフォリオ(全サンプル)の平均実質リターンは年率6.8%となり、「リスク・フリー」ベンチマークである英国国債または米国国債を約4%上回ったと著者は結論付けている。同リターンの中核は価格変化(30%)によるものではなく、クーポンの支払い(70%)によるものであった。そうしたハードカレンシー建て新興国国債の分散エクスポージャーは、過去200年にわたり他の資産クラスよりも高いリスク調整後リターンを示した(以下図表または同論文内の図表12参照)。唯一米国株式市場がそれよりも高い平均リターンを示したが、リスク(標準偏差)もより高かった。

図表:200年の資産クラス:リスクとリターン

出所: Sovereign Bonds since Waterloo by Josefin Meyer, Carmen M. Reinhart, Christoph Trebesch, 2019年2月

昨年10月にリリースした新興国市場レポート「Thinking strategically about emerging markets」の中で、米ドル建て新興国債券は(単独で魅力度の高いリスク・リターン特性を持つ同債券の保有に加えて)グローバル・ポートフォリオに組み入れることにより分散効果を高め、ポートフォリオ全体のリスク調整後リターンの向上につながることを我々は示した(同レポートの図表41に掲載されている検証を参照)。

また同レポートでは、新興国国債のデフォルト(債務不履行)が過去において頻繁に発生したこと、将来においてもほとんど間違いなく発生し続けること、しかし資産クラス全体と個別の案件を分けることが重要であることも述べた。興味深いことに、NBERの論文の中でも1815年以降の全てのディストレスト国債の再編について調査が行われている。調査には過去200年の中で合計313件の外貨建て国債の再編が含まれる。著者は、これらのクレジット・イベントの多くは痛みを伴ったとしても、投資家はリスクに対する見返りを得ていると指摘している。60の複数回デフォルトした発行体群の動きに着目し、そうした発行体の債券のリターン全体は、英国国債または米国国債、さらにデフォルトを経験していない新興国国債のリターンよりも非常に高い、さらに当然ながらリターンの標準偏差も大きいと結論づけている。

よって、新興国債券の200年の歴史は、米ドル建て新興国債券がグローバル分散ポートフォリオの必要不可欠な部分を構成するという我々の見解を支持するものと考える。同資産クラスへの配分を低く維持する投資家に対しては、新興国市場固有のノイズにとらわれず、魅力的なリスク調整後リターンの源泉のリバランスを行うことを引き続き勧める。




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