民主党討論会のポイント
米民主党は7月30–31日の2日間にわたり、来年の大統領選に向けた候補者討論会をデトロイトで行った。国際通商貿易の問題は、これまで民主党の候補たちから寄せられる関心は意外なほど小さい。今回の討論会でもこの問題に触れられたが、ほとんどの候補者は自由貿易を促進する政策を支持することはなかった。それには理由がある。
米民主党は7月30–31日の2日間にわたり、 来年の大統領選に向けた候補者討論会を デトロイトで行った。党内で理念に関して 分断が生じていることは、両日の討論会で 明らかになった。党内の進歩派と同調する 候補者は、富裕層への増税、民間保険に代 わる単一支払者医療保険制度、意欲的な 気候変動対策を提唱した。他の候補者は 教育やインフラ投資、雇用創出に焦点を置 いた穏健路線を選択した。
この討論会では民主党内の深い分断が鮮 明になったが、医療保険制度をめぐっては 米国民の間でも意見が分かれている。ピュー 研究所の最近の調査によると、53%が国民皆 保険制度の提供は連邦政府の責任だと回答 した。しかし44%はその主張に反対だった。 民主党支持者と民主党寄りの回答者の間で も、単一支払者医療保険制度に賛成する割 合は44%に留まり、34%は公的保険と民間 保険の組み合わせが好ましいと回答した。1従 って、民主党の指名候補者たちの間で、この 問題に関して意見が割れていることは驚くに は当たらない。
討論会の司会者は、候補者の政策の違いを 浮き彫りにするため、それぞれの候補者に他 の候補者の看板政策を批判する理由を挙 げさせた。この手法が2日目の討論会でより 効果を発揮したのは間違いない。初日はある 程度節度が保たれていたが、2日目にはバイ デン元副大統領が他候補から厳しい攻撃を 受けた。今回の討論会で、バイデン氏は1カ月 前よりも強いパフォーマンスを見せたが、他 の候補者に大きな差はつけられなかったよ うだ。
次回の討論会は9月12、13日にヒュースト ンで開催される予定で、参加基準はより厳 しくなる。候補者は13万人以上から献金を 集め、少なくとも4つの世論調査で2%以上 の支持率を獲得しなければならない。8人 がすでに条件を満たしているが、参加者数 が減るのは確実だろう。
夜中に吠えなかった犬
夜中に吠えなかった犬
国際通商貿易の問題は、それが米国経済 にとって重要で地政学的な影響があるに もかかわらず、これまで民主党の候補たち から寄せられる関心は意外なほど小さい。 今回の討論会ではこの問題に触れられたが、 ほとんどの候補者は自由貿易を促進する政 策を支持することはなかった。それには理由 があるが、まずは推理小説を例に、我々の考 えを提示したい。
アーサー・コナン・ドイルは、シャーロック・ ホームズを主人公にした短編小説を50以上 執筆した。失踪した競走馬を巡るミステリー 小説「白銀号事件」は特に人気のある作品 の1つだ。名探偵ホームズは、厩舎の犬が侵 入者に吠えなかったことに気付き、調教師を 殺した犯人を特定する。
コナン・ドイルの短編が示すように、あるもの の不在がその存在と同じくらい大きな意味を 持つことがある。従ってこのホームズの推理 を、貿易と今回の選挙戦に当てはめてみる。
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