チーフ・エコノミスト・コメント ― ポール・ドノバン 貿易紛争が生み出す「勝ち組」はどこか?

2018年9月に米国が導入した中国に対する関税措置では、194ページに及ぶ幅広い品目が追加関税の対象になった。その後、今年5月にはこれらの製品への追加関税率が10%から25%に引き上げられた。貿易をめぐる先行き不透明感により、企業の設備投資計画が先送りされており、この影響で世界貿易が鈍化している。しかし、関税措置の直接的な影響を把握するには、米国の輸入市場で中国製品のシェアが低下しているかどうかを確認する必要があるだろう。

30 5 2019
  • 2018年9月に米国が導入した中国に対する関税措置では、194ページに及ぶ幅広い品目が追加関税の対象になった。その後、今年5月にはこれらの製品への追加関税率が10%から25%に引き上げられた。対象品目の中には中国から米国へ輸出していない製品も含まれている模様だ。
  • 貿易をめぐる先行き不透明感により、企業の設備投資計画が先送りされており、この影響で世界貿易が鈍化している。しかし、関税措置の直接的な影響を把握するには、米国の輸入市場で中国製品のシェアが低下しているかどうかを確認する必要があるだろう。
  • 関税対象製品の約5割(金額ベース)には関税措置の効果が全く現れていない。これらの中国製品はシェアが上昇したか、ほとんど変化していない。
  • 一方、一部の中国製品は市場シェアを大幅に減らしている。特に一部の電子製品とハンドバッグのシェア低下が顕著である。
  • 韓国と台湾は中国の代替生産地として、特にエレクトロニクス市場でシェアを伸ばしている。メキシコとベトナムもシェアを増やしている。その他の国に関しては、ほとんど変化がない。

トランプ米大統領は2018年9月、幅広い品目を対象に10%の対中追加関税を課した。その税率は2019年5月に25%に引き上げられた。対象品目リストは194ページにも及ぶ。しかし、それに目を通してみると腑に落ちない部分がある。中国が米国に輸出していない品目も含まれている模様で、リストが与えるインパクトを強くしたいという意識が働いているようにも思える。

関税による間接的な影響も発生している。たとえば、企業の間で先行き不透明感が高まり、投資計画が先送りされている。投資計画の延期は貿易の減速につながり、製造業も鈍化している。しかし、貿易そのものには追加関税による直接的な影響がどの程度及んでいるのだろうか?

米国による追加関税は中国からの輸入を減らすことが狙いである。中国は制裁関税の対象国であるから、米国の輸入市場に占める中国製品のシェアは低下するはずである。そして、中国に代替する他国からの対米輸出の割合が増えるはずだ。しかし、中国のシェアはすべての製品で一様に減っているわけではない。




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