通貨市場 米ドルの強気と弱気材料を見直す

我々は、主要通貨の予想を一部見直している。具体的には、米連邦準備理事会(FRB)が利上げをこれまでの自動操縦から手動操縦に切り替えたことを受けて、3 カ月予想の一部を調整している。

14 1 2019
  • 我々は、主要通貨の予想を一部見直している。具体的には、米連邦準備理事会(FRB)が利上げをこれまでの自動操縦から手動操縦に切り替えたことを受けて、3カ月予想の一部を調整している。
  • 長期的には米ドル安基調との見方を維持するものの、一段のドル安進行を見込むまでには至っていない。そのような状況になるには、欧州と中国に対する景気見通しの改善が必要だからだ。
  • 我々は引き続き日本円のオーバーウェイトならびに豪ドルのアンダーウェイトに対するカナダ・ドルのオーバーウェイトを維持する。なお、目前に迫ったブレグジット(英国のEU離脱)関連の政治リスクを考慮し、英ポンドに対する明確な見解は差し控える。

米ドルの強弱バランス:経済と政治

米国の購買担当者景気指数(PMI)が上昇していることから、米国の景気見通しは欧州その他のG10諸国よりも明るく、米ドルの強気材料となっている。ここ数四半期で、欧州と中国の景気見通しは悪化しており、景気指標が好転するまでは、我々の両地域への見通しも強気に変更しない。経済指標と事前予想とのかい離幅を指数化したエコノミック・サプライズ指数も、ユーロ圏はマイナス方向に傾いている(発表内容が事前予想を下回っている)。一方、米国の最近の経済指標は強弱まちまちだ。

欧州のほぼ全域で景気指標が数四半期にわたり悪化していることから、むしろ反発の余地は高まっている。悲観材料がこれだけ長引くと上振れしやすくなり、市場もそれを期待している。一方、米ドルの弱気材料は長期的なファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)の悪化だ。米国のインフレ率は上昇しており、購買力平価だけで見ても、ユーロ/米ドルは1.30まで(ユーロ高方向へ)上昇してもおかしくない。足元の金利差の広がりから、将来の金利差に基づく10年フォワードレートはすでに1.40に押し上げられている。欧州の経済成長率が高まれば同レートはさらに上昇する可能性がある。懸案の米貿易赤字も、長期的には米ドル高の歯止めとなるだろう。

こうした環境下、米利上げ期待の見直しが非常に重要である。世界で最も好調な米経済を背景とした米ドルの全面高も後退しつつある。さらに、長引く米国政府機関の(一部)閉鎖や債務上限問題をめぐる与野党対立も、米ドルの大きな押し下げ圧力となる。

直近の米中貿易協議の進展により、安全通貨としての米ドルの優位性が低下し、米ドルは下振れするとの見方もある。ただし、交渉が合意に達するかどうかは現時点ではまだ不透明だ。輸入自動車に追加関税を賦課するかどうかの結論も期限が迫っており、もし追加関税発動となれば、貿易主導による新たな米ドル高につながる可能性も否定できない。

結論としては、当面、景気動向と為替レートはバランスがとれているが、その後、今年後半には長期的なファンダメンタルズの重要性が高まり、米ドル安が緩やかに進行すると考える。




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