CIO通貨コメント EU離脱協定案をめぐりポンドは乱高下

メイ英首相が提案した欧州連合(EU)離脱協定案が英議会によって再び否決された。12日夜に行われた採決では、反対が賛成を149票上回った(反対391票、賛成242票)。英ポンド相場は乱高下が続いた。英ポンドの下落を一服させる要素は見当たらず、下落に備えたヘッジを引き続き勧めする。

12 3 2019

メイ英首相が提案した欧州連合(EU)離脱協定案が英議会によって再び否決された。12日夜に行われた採決では、反対が賛成を149票上回った(反対391票、賛成242票)。英ポンド相場は乱高下が続いた。英ポンドの下落を一服させる要素は見当たらず、下落に備えたヘッジを引き続き勧めする。

英ポンドにとっての好材料は、13日以降に行われる「合意なき離脱」の是非を問う採決、およびEU離脱期限(3月29日)の延期の是非を問う採決の実施だ。延期が可決された場合、英ポンド相場はやや落ち着くかもしれない。しかしながら、今回の採決での反対票の多さは、合意に至るまでの道のりの長さを物語っており、英ポンドにとってマイナスである可能性が高い。

ボラティリティの再燃

ブレグジットにはまだ複数の選択肢が残されていることを反映し、英ポンドは乱高下し、ボラティリティ(相場の変動率)は1月初旬以来の水準にまで押し上げられた。英ポンド/米ドルの通貨オプションのボラティリティは1カ月物で年率12%と、ユーロ/米ドルなど他の主要通貨ペアの2倍以上である。我々は英ポンド相場が今後も経済ではなく政治によって変動すると判断し、下落リスクへのヘッジを引き続き重視する。

ここ数週間の英ポンドの水準は、「合意なき離脱」よりも「合意に至る」結果をより多く織り込んでいたように思われる。そのため、合意なき離脱や総選挙といった下落リスクが残っている限りは、上値を追わないことを勧めてきた。長期的に見れば英ポンドは依然として安値圏にあるが、現在の水準は短期的な下落リスクを十分に織り込んでいないとみている。よって、我々は合意なき離脱の場合に、英ポンド/米ドルが1.15まで下落し、ユーロ/英ポンドが0.95まで上昇すると予想する。現時点では、英ポンドのポジションが魅力的になるのは、英ポンド/米ドルが1.24以下となるかユーロ/英ポンドが0.92以上になった場合のみだろう。

道のりは依然として不透明かつ険しい

英議会が離脱プロセスをコントロールし、離脱なき合意のリスクを十分に削減した場合、上記で説明した英ポンド/米ドルの為替レートの水準は上昇(ユーロ/英ポンドの水準は低下)するだろう。このプロセスは、13日から実施される3月29日の期限延長に関する採決から始まるかもしれない。もちろんEU側が延長を認めるかどうか、どのような条件で延長を認めるかは現時点でわからない。よって我々は今後の政治的な進展を注視し続ける。

現段階で言えることは、英ポンドが経済的要素ではなく、主に政治的要素によって変動する状態が続くということだ。我々は恐らくは2-3カ月の延期を経て、合意案が最終的に可決されるという基本シナリオを維持する。よって3カ月では英ポンド/米ドルを1.28前後、ユーロ/英ポンドを0.90前後と予想する。12カ月では、英ポンド/米ドルは1.40に、ユーロ/英ポンドは0.86に達するとみている。この見方はブレグジットの先行き不透明感が払拭され、イングランド銀行が利上げを行うとの予想に基づいている。

我々は上記の予想に対し、他の主要通貨ほど確信を持っているわけではないため、これらの通貨レート予想の使用には慎重になる必要がある。




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