新興国通貨 慎重なスタンスで2018年後半に臨む

新興国通貨は再び下落圧力にさらされている。その主な要因は、米国の金融引き締め政策、主要通貨全般に対する米ドル高、そして貿易戦争への懸念の高まりだ。さらなる新興国通貨安の可能性を排除することはできないが、我々はグローバル情勢が今年後半には安定すると予想する。

24 5 2018

2018年6月22日

Chief Investment Office WM

Jonas David, CFA, Strategist; Tilmann Kolb, Analyst; Teck Leng Tan, CFA, Analyst

  • 新興国通貨は再び下落圧力にさらされている。その主な要因は、米国の金融引き締め政策、主要通貨全般に対する米ドル高、そして貿易戦争への懸念の高まりだ。さらなる新興国通貨安の可能性を排除することはできないが、我々はグローバル情勢が今年後半には安定すると予想する。
  • 一部の国では、国内情勢の悪化と政治的な先行き不透明感の高まりによって、グローバル環境の逆風が強さを増している。こういうときこそ、局面を見極める慎重な見方が必要である。我々は、国内情勢が通貨を下支えし、リスク調整後のリターンの見通しが魅力的な市場に注目するよう勧める。
  • 新興国に対する主なリスクは、引き続き米ドルの長期的な上昇、世界的な金利の急上昇、貿易摩擦の激化、地政学的緊張の高まり等であり、これらは成長見通しと投資家センチメントへの重石になるだろう。

CIOの見解

グローバル環境の悪化が新興国通貨の重石になっている。米国の金融引き締め政策や主要通貨全般に対する米ドル高に加え、貿易戦争への懸念の高まりという新興国通貨にとって新たな逆風が生まれている。投資家が新興国について再び楽観的になるには、グローバル環境が安定し、国内の経済活動が活発化することが前提条件となる。我々は、こうした情勢は2018年後半には落ち着くと予想しているが、さらなる短期的な下落の可能性も排除できず、新興国は防衛策として政策金利の一段の引き上げに迫られるだろう。一部の市場では国内情勢が悪化し、政治的な先行き不透明感が払拭されずにいる。トルコ、ブラジル、そして最近の情勢から南アフリカに対しては、当面慎重なスタンスを取ることを強く勧める。

戦術的なポジショニングでは、インド・ルピーを引き続きオーバーウェイトしている。同通貨は、インド経済の景気回復による恩恵を受けるだろう。このオーバーウェイトを台湾ドルへのショートポジションで補った結果、約7%の魅力的な金利収入を得るとともに、グローバルな動きへの感度を下げることができた。欧州、中東、アフリカ(EMEA)地域では、米ドルとユーロを均等加重した通貨バスケットに対するロシア・ルーブルのオーバーウェイト・ポジションを開始した。ロシア・ルーブルは良好な国内情勢、金利収入、原油価格上昇の恩恵を受けると思われる。またポーランド・ズロチのオーバーウェイトも継続する。同通貨は、このところの逆風が弱まればすぐに回復すると予想される。最後に、世界的な逆風を背景に国内情勢の見通しが揺れ動いているため、南アフリカ・ランドのオーバーウェイト・ポジションを終了した。

図表1:新興国通貨の推奨状況

戦術的投資期間でのポジショニング

出所: UBS(2018年6月21日現在)。このグラフは、投資期間を6カ月と想定した新興国通貨のCIOの戦術的なポジショニングを示しています。新興国通貨での投資機会を物色している投資家向けに提示する相対価値に基づくポジションで、金利差からのリターンを考慮しています。棒グラフの長さにはリスク調整後リターンが反映されています。




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