新興国通貨 不安定な状態が続く見通し

貿易摩擦と世界的な流動性の引き締めが続く厳しい環境の中、新興国通貨は、トルコ通貨危機から波及したネガティブなセンチメントの打撃を受けた。当面は困難な状況が続くものと予想され、市場はさらに下落する可能性がある。

23 8 2018
  • 貿易摩擦と世界的な流動性の引き締めが続く厳しい環境の中、新興国通貨は、トルコ通貨危機から波及したネガティブなセンチメントの打撃を受けた。当面は困難な状況が続くものと予想され、市場はさらに下落する可能性がある。
  • 新興国通貨には一段の下振れ余地があるが、一方で状況が緩和する局面もありうることから、現時点では、対米ドルもしくは対ユーロでポジションを持つことは控えたい。特に、トルコ・リラ、南アフリカ・ランド、インドネシア・ルピアなど対外要因により大きく下落しやすい通貨については、こうした動きを避けるよう勧める。
  • 新興国市場にとって主なリスクは、引き続き貿易摩擦の激化と地政学的緊張の高まり、並びに世界的な利回りの急上昇であり、これらは成長見通しと投資家センチメントへの重石になるであろう。トルコから他市場へのさらなる伝播や新興国市場の再下落の可能性も排除できない。

CIOの見解

トルコ・リラ急落の影響が他市場に波及し、新興国通貨全体に再び下落圧力がかかった。貿易紛争に対する懸念、米国の金融引き締め、中国の景気減速等、世界的な懸念材料も根強く残っている。特に、流動性引き締めの影響を受けて下落しやすい通貨は、新興国に対するセンチメントが悪化するたびにストレスが急激に高まる傾向にある。経常赤字の規模、海外資金への依存度、外貨建ての国債・社債の比率等は、脆弱性を測る上で重要な指標となる。

投資家が新興国市場について再び楽観的な見通しを持てるようになるには、グローバル環境が安定化し、国内の経済が活発化し、政治リスクが後退する必要があるだろう。とは言え、新興国資産のバリュエーションは改善しており、中長期的には再び魅力的な投資機会を提供すると見ている。

戦術的なポジションについては、台湾ドルに対するシンガポール・ドルのオーバーウェイトを維持する。中国輸入品に対する米国の追加関税の拡大は、台湾の成長見通しに影響を及ぼすとみられるが、シンガポールに対する影響は限定的になろう。ラテンアメリカとEMEA(欧州・中東・アフリカ)の通貨については、さまざまな政治的・地政学的リスクを前に、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が影を薄め、魅力的なリスク調整後リターンを期待することができないことから、当面は様子見とする。




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