新興国通貨 安定しているが、行き先は不透明

過去数カ月にわたり、新興国通貨(指数レベル)は概ね横ばいで推移した。長期のバリュエーションは依然として魅力的だが、ファンダメンタル面での幅広い改善の兆しがまだ見られない。

15 11 2018
  • 過去数カ月にわたり、新興国通貨(指数レベル)は概ね横ばいで推移した。長期のバリュエーションは依然として魅力的だが、ファンダメンタル面での幅広い改善の兆しがまだ見られない。
  • 世界的な流動性の引き締めと貿易摩擦の悪化を背景に、新興国通貨は厳しい状況が続くものと予想される。したがって、対米ドルで直接ポジションを取ることは引き続き控えたい。ただし、レラティブ・バリューでは魅力的な投資機会があるとみている。
  • 新興国市場の主な下方リスクとして、世界的な金利急騰および成長減速、貿易摩擦の悪化、各国固有の押し下げ要因が挙げられる。一方、市場の安心材料となりうるのは、米連邦準備理事会(FRB)による利上げの一時休止、中国の景気刺激策、米中貿易協議での合意だ。

CIOの見解

新興国通貨は過去数週間にわたるグローバル市場の混乱の影響を受けることなく、無傷に近い状態にある。8月中旬以降は概ね横ばいで推移してきた。過去1カ月間は、インド・ルピー、インドネシア・ルピア等、アジアの高金利通貨がそれまでの下落トレンドから一定の反発を見せることができた。またトルコでは対外不均衡の改善が進む中、トルコ・リラが一段と反発した。メキシコ・ペソは、ロペス・オブラドール次期大統領の新政権に対する投資家の信認が得られず、リターンが最下位となった。

新興国通貨のバリュエーションは既に割安な領域にあるが、米中貿易摩擦、米連邦準備理事会(FRB)の利上げサイクル、欧州の政治問題によるリスク・センチメント悪化により現在の状況が悪化すれば、新興国通貨は下落する可能性がある。一方で、そうした問題の一部が解決されると、市場は勢いを取り戻す可能性もある。また現地のネガティブなニュースは減りつつあり、上方・下方リスクが均衡化しつつある。しかしながら、新興国通貨の持続的な回復を後押しする原動力は未だ見当たらない。

我々は台湾ドルに対するシンガポール・ドルのオーバーウェイトを維持する。米中貿易紛争の悪影響は台湾の方が大きいと予想されるからだ。チェコ・コルナはチェコの引き締め的な金融環境の恩恵を受けると考え、ユーロに対するオーバーウェイトを維持する。両ポジションとも新興国戦略全体に対するリスク寄与度が低いことからウェイトを高める。またメキシコの政策見通しが悪化したことから、南アフリカ・ランドに対するメキシコ・ペソのオーバーウェイトを解消する。




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