新興国通貨 新興国通貨は下方リスクの方が大きい

過去1カ月間、新興国通貨は再び混乱に陥り、アルゼンチン・ペソとトルコ・リラは市場の注目を浴びた。各国固有の問題とそれに伴う波及効果だけではなく、米連邦準備理事会(FRB)の利上げサイクルや米中貿易摩擦も世界的な問題として同資産クラスの重石となった。

20 9 2018
  • 当面、新興国通貨は厳しい状況が続くものと見ている。世界の流動性環境の逼迫化が進んでおり、エスカレートする米中貿易摩擦や新興国国内の政治上、政策上の様々な問題が解決される必要がある。
  • 新興国通貨はさらに下落すると予想されるが、バリュエーションが既に大きく下落している。一時的に安堵感が広がり、反発する局面もあると見ている。戦術的には、対米ドルもしくは対ユーロで直接ポジションを持つことは控えたいが、レラティブ・バリューのポジションで魅力的な投資機会があると考える。また一部の市場については、ポジションのヘッジを推奨する。
  • 新興国市場の主な下方リスクとして、貿易摩擦の悪影響、世界的な利回りの急上昇、グローバルな景気の軟化、さらなる連鎖的な影響が挙げられる。米連邦準備理事会(FRB)の利上げサイクルにおける一時的な金利据え置きは、一定の安堵感を市場にもたらすものと考える。

CIOの見解

過去1カ月間、新興国通貨は再び混乱に陥り、アルゼンチン・ペソとトルコ・リラは市場の注目を浴びた。各国固有の問題とそれに伴う波及効果だけではなく、米連邦準備理事会(FRB)の利上げサイクルや米中貿易摩擦も世界的な問題として同資産クラスの重石となった。新興国通貨のベンチマーク(JPモルガンELMI+)の過去1カ月間のリターンは概ね横ばいとなったが、1月の高値以降のトータル・リターンは-8.2%となった。

新興国通貨が持続的な反発を見せるためには、多くの逆風が弱まり、または少なくとも強まることがなくなり、新興国で政策対応が取られる必要がある。具体的には、脅しや追加関税から将来の米中関係についての本来の交渉への移行、実体経済に効果が及ぶ中国の景気刺激策、先進国市場との適切な実質利回り格差を保つ新興国中央銀行の金融政策、そして投資家の新興国市場に対するセンチメントが再びニュートラル/ポジティブとなることが必要だ。持続可能なかたちで安堵感が市場に広まるかについては、現段階では懐疑的である。

戦術的ポジションについては、南アフリカ・ランドに対しメキシコ・ペソをオーバーウェイトとした。メキシコ・ペソは、上記の逆風が当面強まる環境の下では良好なパフォーマンスが期待される。一方、南アフリカ・ランドは景気低迷と双子の赤字により下落しやすい状況にある。また、台湾ドルに対するシンガポール・ドルのオーバーウェイトを維持することとした。米中貿易摩擦の激化により台湾に悪影響が及ぶものと考える。




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