通貨市場 米貿易紛争による為替相場への影響

トランプ政権が新たに打ち出した攻撃的な通商戦略で金融市場には不安感が改めて広がり、リスク・オフの取引が起きやすい状況となっている。

21 6 2018
  • トランプ政権が新たに打ち出した攻撃的な通商戦略で金融市場に は不安感が改めて広がり、リスク・オフの取引が起きやすい状況と なっている。
  • 我々は通貨戦略を変更し、米ドルのアンダーウェイト幅を減らし、カ ナダ・ドルのオーバーウェイト幅を減らした。米ドルに対する日本円 のオーバーウェイトには、特にポートフォリオ内でのアルファ(超過 リターン)の源泉、もしくはヘッジ要素として保有する価値がある。 台湾ドルに対するインド・ルピーのオーバーウェイトにも投資価値を 見出している。
  • 米ドルはファンダメンタルズを根拠に今後数四半期にわたって下落 するとの基本的な見通しは変更しない。ただし、政治情勢の不透明 感から短期的にはファンダメンタルズ要因を覆す動き(米ドル高方 向)になるだろう。

我々は、米国と貿易相手国との貿易摩擦が交渉により最終的には和解 に至るという基本シナリオを変更しないが、それでも当初の予想からか け離れた形で決着する可能性も否定できない。したがって、我々は米ド ルのアンダーウェイト幅をやや削減することが賢明だと判断し、米ドルに 対するカナダ・ドルのオーバーウェイトを終了した。同ポジションを構築し た時には、両国間の貿易紛争にもかかわらず、カナダ経済は米国の経 済成長から恩恵を得て順調に成長し、カナダの追加利上げの時期がさ らに近づくと予想していた。しかし、米政権によるここ数週間の追加関税 の脅しは、現在の為替市場では政治の影響力の方が経済よりも強いこ とを示している。

このポジションは昨年に開始し、1月までは順調に利益を享受できた。と ころがここ数カ月は、新興国経済の多くが困難に直面し、欧州が年末ま でに量的緩和の終了を予定しているなか、カナダ・ドルは強烈な下げ圧 力にさらされている。我々はカナダ・ドルが魅力的な投資対象だとの見 方を変えていない。現在の景気回復が続けば、カナダはいずれ金融政 策の正常化に向かうだろう。しかし、米国を中心とする政治情勢の不透 明感がさらに悪化したため、今後数カ月は相場が大きく変動する可能性 が高まっており、短期のリスク調整後リターンには魅力がない。

長期的には、我々は引き続き米ドルが全般的に軟化すると予想してい る。この点、米ドルに対する日本円のオーバーウェイトは楽観シナリオ、 悲観シナリオのどちらでも利益を期待できる最善のポジションと考える。 楽観シナリオは、日本経済の持続的な回復を受けて、日銀が金融緩和 スタンスを後退させるというものだ。これに対し、グローバル市場がリス ク・オフに転じ、安全通貨としての円が買われるというのが悲観シナリオ だ。ポジションが上下どちらにも動かないシナリオもあり得る。現在のバ リュエーションでは円は大幅な割安になっているため、我々は安心して このポジションをポートフォリオ内でのアルファ(超過リターン)の源泉と しても、ヘッジ要素としてもみることができる。




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