CIO Currency comment ドル円は一時上昇、クロス円は円高見込む

ドル円相場は10月4日、11カ月ぶりの高値である114.55円に達した。米ISM非製造業景況指数など米経済指標が好調だったことや、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が講演で楽観的な見通しを示したことが背景にある。米10年国債利回りが3.2%近くまで急上昇し、2011年6月以来の高水準を付けたことも、ドル買いを促した。

04 10 2018

ドル円相場は10月4日、11カ月ぶりの高値である114.55円に達した。米ISM非製造業景況指数など米経済指標が好調だったことや、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が講演で楽観的な見通しを示したことが背景にある。米10年国債利回りが3.2%近くまで急上昇し、2011年6月以来の高水準を付けたことも、ドル買いを促した。

短期的には、米国債利回りの一段の上昇がドル高進行のリスクとなるだろう。過去の感応度分析に基づくと、日米の10年国債利回り格差が10ベーシスポイント(bp)開くごとに、ドル円は約1円ドル高方向に動く傾向がある。従って、米10年国債利回りが3.5%に上昇するシナリオでは(日本の10年国債利回りは、日本銀行が容認する上限いっぱいの5bpだけ上昇)、ドル円はさらに3円上昇して117-118円の水準に達する可能性がある。

しかし、我々は米10年国債利回りが3.0%を超える状況はさほど長くは続かないとみており、ドル円は現在の114-115円の水準が限界だと考える。この他にも複数の理由から、ドル円はドル安方向に下振れするリスクの方が大きいとみている。まず、テクニカル面から見て、ドル円が大きな抵抗線である114.5-115.0円の水準に近づいていることだ(チャート参照)。この抵抗線は2017年初めから維持されている。こうしたことから、米10年国債利回りが安定すれば、投機筋が利益確定に動くだろう。2つ目は、ブレグジットやイタリアの財政赤字に関する短期的な懸念が、クロス円(特に英ポンド/円とユーロ/円)の下方圧力になると見られることだ。これが結果的にドル円を円高方向に動かすだろう。

3つ目は、日本の輸出業者による為替ヘッジが進む(1ドル=114-115円の水準で米ドルを売る)と予想されることだ。現在の水準は、最新の日銀短観で示された企業の為替ヘッジの平均水準107.4円と比べての魅力的である。4つ目は、米中貿易摩擦の一段の激化が引き続き警戒されることだ。米国は中国以外の貿易相手国と最近通商協定で合意に達したことにより、中国への圧力を強める余地ができたとも考えられる。これが地域のリスクセンチメントの重石になり、逃避先としての円の需要を高める可能性がある。今後数カ月間は実質的な米中通商交渉の予定がない中、2,000億ドルの中国製品への追加関税が10%から25%に自動的に引き上げられる期限が2019年1月1日と迫っている。この結果、リスクオフムードが広がり、相場は円高に振れる可能性が高い。

我々は、米ドル高基調が続いていること、米国債利回りが一段と上昇するリスクがあることから、クロス円では円が強含むとみている。具体的には、推奨ポジションとして今週初めの10月2日に、日本円に対するニュージーランド・ドルのアンダーウェイトを開始した(ポジション開始水準は75.3、目標は72.5、ストップロスは77.1)。このポジションは現時点で1.4%の小幅の上昇となっている。日本円よりもニュージーランド・ドルの方が一時的な米ドル高の影響を受けやすいことから、このポジションは当面は短期的な市場変動からの恩恵を受けると思われる。




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