アジア太平洋通貨 人民元の軟化とアジア通貨への影響

景気減速、財政・金融政策の一段の緩和、経常黒字の縮小等、中国の来年のマクロ環境は人民元にとって好ましくないものになると考える。そのため、人民元は今後12カ月にわたり貿易加重ベースで5%下落する余地があると見ている。これに伴い、米ドル/人民元の6カ月、12カ月予想をそれぞれ7.1、7.3(従来:双方7.0)に引き上げることとする。尚、3カ月予想は7.0のまま維持する。

17 10 2018
  • 景気減速、財政・金融政策の一段の緩和、経常黒字の縮小等、中国の来年のマクロ環境は人民元にとって好ましくないものになると考える。
  • そのため、人民元は今後12カ月にわたり貿易加重ベースで5%下落する余地があると見ている。これに伴い、米ドル/人民元の6カ月、12カ月予想をそれぞれ7.1、7.3(従来:双方7.0)に引き上げることとする。尚、3カ月予想は7.0のまま維持する。
  • 人民元軟化の見通しに基づき、韓国ウォン、台湾ドル、シンガポール・ドルの12カ月後の上昇余地も縮小する。韓国及び台湾は中国との貿易上の関係が緊密であり、またシンガポールは貿易量で加重平均する通貨バスケット制度をとっていることから、これらの通貨は人民元の軟化に対する感応度が比較的高い。

米ドル/人民元の上昇ペースは鈍化したが、1米ドル=7元が視野に入ってきた\

米ドル/人民元は6月中旬から8月中旬にかけて6.40から6.94まで急上昇した後、過去2カ月の間に6.80〜6.94のレンジを値固めしたことから上昇ペースは鈍化した。中国人民銀行(中央銀行)は8月に実施した2つの通貨安定化策により(かつてこれらの方法を通じて投機的な人民元の空売りを抑え込んだ)、米ドル/人民元レートが7.0を下回る水準で効果的に維持することができた。

これは、中国人民銀行が何としても米ドル/人民元が7.0を上回ることを阻止することを意味するものなのか? 我々はそうとは考えない。中国人民銀行は(そしてどの中央銀行も)そうした投機筋の通貨売りを歓迎しないが、一方で人民元が経済ファンダメンタルズ(基礎的諸条件)を反映することを妨げるものではない。これについて、同中央銀行の易綱総裁は10月12、13日の国際通貨基金(IMF)総会で、「中国は人民元を妥当な均衡水準で概ね安定させる」と適切にまとめている。特に「妥当な均衡水準」という表現は、米中貿易摩擦が悪影響を及ぼすことにより中国の経済成長率が今年の約6.5%から来年6.0%まで減速すると、米ドル/人民元の均衡レートが上方へシフトすることを意味するものと我々は解釈している。




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