CIO Reaction 離脱派のジョンソン氏が次期英首相に

欧州連合(EU)離脱の是非を問う2016年の国民投票で離脱派を主導したボリス・ジョンソン氏が次期英首相に就任する。ジョンソン氏は、合意の有無にかかわらず予定通り10月31日にEU離脱を実現すると改めて強調した。同氏がジェレミー・ハント氏に勝利することは、大方の予想通りだった。このため市場の反応は落ち着いている。

23 7 2019

ジョンソン次期首相が合意なき離脱も辞さない構えであっても、離脱を進めるにあたっては様々な障壁に直面するだろう。英議会で保守党の議席は単独過半数に届いていないため、ジョンソン氏が望ましいと考える選択肢を押し通すことができない。党内も一枚岩ではない。グリーブ元法務長官など有力議員の何人かは合意なき離脱に反対している。グリーブ氏は、ジョンソン氏が合意なき離脱を強行するならば、不信任案に賛成票を投じるつもりだと語っている。その他の保守党議員も同様の考えを示しており、彼らに追随する者が増えそうだ。野党労働党内でも合意なき離脱に賛同する議員はほとんどいないと思われる上、同党指導部は国民投票の再実施に支持を表明している。

首相は変わっても、議会の構成とバーコウ下院議長の姿勢は変わらない。議員の過半数は当初から合意なき離脱に反対している。加えてバーコウ議長は、各議員にこの件についての意見を表明させるために、柔軟に議会運営を行う方針を示している。従ってジョンソン氏が「合意の有無にかかわらず」10月31日にEUを離脱すると主張しても、バーコウ議長の支持の下、議員はそれを阻止すると我々は考えている。ジョンソン氏が「合意なき離脱」を断行しようとするならば、どの道筋をたどっても、最終的に総選挙に行き着くだろう。

従って、長期的には合意なき離脱のリスクは消えないものの、短期的に最も可能性が高いと考えられるのは、ジョンソン氏の方針変更、または解散総選挙によって、10月31日の離脱期限が再度延期されるというシナリオである。

投資見解

我々は、現時点ではブレグジットの結末の予想に基づいて大きなポジションを取るべきではないと考える。しかし、市場は現在、短期的な合意なき離脱リスクを過度に織り込んでおり、そこに投資機会が見出せる。現在の1英ポンド=1.24米ドルという水準は、我々の計算に基づく適正水準の1.59米ドルを大きく下回っている。それはブレグジットをめぐる先行き不透明感が大きな理由だ。しかしながら、経済指標は最近こそ弱含んでいるものの、英国経済は依然として底堅く、インフレ率もイングランド銀行(中銀)の目標水準を維持している。我々がより現実的なシナリオと考える離脱延期を、市場が短期的に織り込み始めれば、英ポンドは反発すると予想する。従って、我々は米ドルに対して英ポンドをオーバーウェイトとする。長期的には、もし合意なき離脱となった場合は英ポンドは1英ポンド=1.15米ドルに下落し、離脱期限が延期された場合は12カ月で1英ポンド=1.35米ドルに上昇、もし離脱プロセスにおいてEU残留の可能性が浮上し始めれば1英ポンド=1.45米ドルに向けて上昇する可能性があると予想する。

株式については、ブレグジットによる政治の長期的な先行き不透明感により、英国株式の魅力は相対的に薄れると考える。我々は英国株式に対して米ドル建て新興国国債をオーバーウェイトとする。英国株式は配当利回りが4.8%と、割安感が徐々に増しているようだ。しかしながら、英国は従来保守的でリスクの低い市場と見られてきたが、ブレグジットをめぐる先行き不透明感が当分払拭されないことから、リスクプレミアムが上昇する可能性がある。英ポンドが上昇すれば、現地通貨建てのリターンは限定的となるだろう。米ドル建て新興国国債は、米国債に対するスプレッドが約335ベーシスポイント(bp)と、長期的なリスク調整後リターンの見通しが相対的に良好とみられる。




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