CIO Reaction トランプ大統領、中国製品2,000億米ドルに追加関税

米政府は17日、米国が新たに2,000億米ドル相当の中国製品に10%の追加関税を課す措置を今月24日に発動すると発表した。同関税率は2019年1月1日に25%に引き上げられる。中国がこれまでの発言通りに報復措置を取れば、米政権は米国に輸入されるほぼ全ての中国製品に直ちに追加関税を課すと明言している。

18 9 2018

米政府は17日、米国が新たに2,000億米ドル相当の中国製品に10%の追加関税を課す措置を今月24日に発動すると発表した。同関税率は2019年1月1日に25%に引き上げられる。中国がこれまでの発言通りに報復措置を取れば、米政権は米国に輸入されるほぼ全ての中国製品に直ちに追加関税を課すと明言している。追加関税の当初の上乗せ幅である10%は、予想の範囲の中で最も低い数字である。今回の措置によって、米国に輸出される全中国製品のおよそ半分が追加関税の対象となり、その累計額は2,500億米ドルを超える。今回の発表は、米中貿易摩擦が改善する前に一旦悪化するという我々の見方に一致した動きである。米中の貿易を巡る対立の激化は、リスク資産にとって短期的にマイナスであり、米中間で取引されるほとんどまたは全ての製品に高い関税が課せられ、経済的な打撃となる貿易戦争への懸念が高まる。とは言え、投資家は今回発表された関税措置を解釈する上で、以下の点を考慮に入れる必要がある。

  • 今回の追加関税により米中貿易摩擦は悪化したが、この追加関税と中国による報復措置の直接的な影響は、当初は米企業収益を年率約1%減少させる程度にとどまると我々は予想する。関税が25%に引き上げられる2019年初めには、減益幅は3%に拡大するだろう。ディフェンシブ銘柄がここ3カ月アウトパフォームしていたことからも、投資家は追加関税の決定をある程度予想していた可能性が高い。今回の関税措置が2段階に分かれているため、米消費者は関税による影響を米国中間選挙後に幅広く感じることになるだろう。
  • 中国株式(MSCI中国指数)は6月初旬以降すでに18%下落している。第2弾の関税措置を含めると、日本を除くアジア株式の企業収益への影響は、10%の上乗せ幅ではわずか2.5%の減益だが、25%への引き上げで4.8%減益に悪化するだろう。MSCI中国指数の北米市場に対する収益エクスポージャーがわずか2%程度であり、中国はすでに金融政策を緩和方向へシフトさせている。これらの追加関税はすでに中国株式の価格に織り込まれているだろう。
  • 人民元が6月中旬以降、対米ドルで約7%急落しており、米ドル換算では中国の輸出額を下支えしている。我々は今後人民元の一段の下落があると予想し、米ドル/人民元の短期的な目標値を7.0に設定する。貿易摩擦がさらに激化した場合は、7.5まで下落する可能性も排除しない。

次の注目は中国が報復措置を取る可能性に集まるだろう。中国は600億米ドル相当の米国製品に追加関税を課す方針を示している。米国の措置を下回る報復であれば市場からポジティブに受け止められる可能性が高く、報復合戦が深刻化するリスクが弱まる。ポジティブなリスクシナリオでは、米中貿易協議で合意に達し、中国株式と米国株式が上昇することが考えられる。しかしながら、中国が大規模な非関税措置の導入を目指すなら、市場はよりネガティブな反応を示しそうだ。我々の予想するシナリオではないが、考えられる措置を可能性の高い順番に(市場への影響が低い順番に)挙げると、米企業の中国市場からの締め出し、積極的な人民元安の誘導、保有する米国債の売却開始となる。米中が取引する全ての製品に高い関税が課せられ、中国が攻撃的な非関税措置の導入を目指す貿易戦争のシナリオでは、中国株式と米国株式の両方に下落圧力がかかる可能性がある。次にどのような措置が取られるかにかかわらず、米中間の貿易摩擦は中間選挙が終わっても続くだろう。様々なリスクはあるものの、経済と企業利益の堅調な成長を背景に、我々はグローバルな戦術的資産配分でリスク資産を概ねニュートラルとしている。この資産配分では、グローバル株式と新興国市場の米ドル建て国債をややオーバーウェイトとし、ユーロ建てハイイールド債はアンダーウェイトとしている。

Mark Haefele, UBS AG




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