CIO Reaction 米中貿易、再び緊張高まる

トランプ米大統領は18日、新たに2,000億米ドル相当の中国製品に対する10%の追加関税を検討する方針を示した。米政府は米通商代表部に対して対象となる中国製品の一覧を作成するよう指示。さらに、中国が報復措置を取れば、2,000億米ドルを追加すると警告した。これは、15日の中国製品500億米ドル相当に対する米国の追加関税の発表を受け、中国政府がすぐに報復措置を決定したことに対する、米国の先行的な対抗措置だ。

19 6 2018

概要

トランプ米大統領は18 日、新たに2,000 億米ドル相当の中国製品に対する10%の追加関税を検討する方針を示し た。米政府は米通商代表部に対して対象となる中国製品の一覧を作成するよう指示。さらに、中国が報復措置を取れ ば、2,000 億米ドルを追加すると警告した。これは、15 日の中国製品500 億米ドル相当に対する米国の追加関税の発 表を受け、中国政府がすぐに報復措置を決定したことに対する、米国の先行的な対抗措置だ。これにより、2017 年の 中国から米国への輸出額に匹敵する4,500 億米ドル相当の製品に追加関税が適応される可能性がでてきた。貿易を 巡る緊張の高まりが貿易戦争に発展し、世界の経済成長と株式市場にマイナスの影響が及ぶことへの懸念が再び強 まっている。

米国の大型株と債券利回りは下落したが、どちらも日中につけた安値を上回って取引を終えた。S&P500 種株価指数 の下落率は0.4%にとどまり、米小型株のラッセル2000 指数は小幅に上昇した(0.1%)。しかし、世界成長に敏感な 資本財セクターと素材セクターは約2%下落。一方で通信、公益、生活必需品といったディフェンシブ色が強く利回りの 変化に敏感なセクターは上昇して取引を終えた。アジアの株式市場では、特に中国市場で大幅な下落が見られた。米 国10 年債利回りは3 ベーシスポイント(bp)低下して2.89%となり、米ドルは安全資産の日本円とスイス・フランを除く すべての主要通貨に対して上昇した。

今後の展開

既に発表の500 億米ドルのうち、第一弾の340 億米ドル相当の中国製品に対する米国の関税措置は7 月6 日に発 効し、残りの160 億米ドル相当の中国製品については更なる見直しが行われる。ホワイトハウスは5 月29 日に通商 法301 条に基づく初回の調査対象品目の確定を発表した際に、6 月30 日までに中国企業に対して投資制限を課す意 向を示した。5 月24 日には、輸入自動車に対する通商法232 条に基づく調査を開始。2019 年より前に最初の措置が 取られることは考えにくいが、プレスリリースによれば、11 月の米中間選挙の前に結論が出される可能性がある。トラ ンプ政権は、こうした関税措置が経済、金融市場、大統領の支持率に与える最初の影響を評価してから、追加制裁の 実施を決定する可能性が高い。

市場への影響

貿易を巡る緊張の高まりと相次ぐ報復措置の脅しが近いうちに収束する可能性は低い。しかし、我々の基本シナリオは 依然として、最終的には米中間で既存の通商協定の再交渉が行われ、新たな協定が締結されるというものだ。対象を 絞った二国間関税は維持されるかもしれないが、世界経済に及ぼす影響は限定的となるだろう。発表されている米中 の関税措置は、両国の国内総生産(GDP)成長率を最大で0.1%程度引き下げ、米国のインフレ率を0.02-0.03%程度 小幅に押し上げるだろう。しかしながら、米国が4,000 億米ドル相当の中国製品への追加関税(合計4,500 億米ドル)
を実際に課した場合、影響は大きくなるだろう。

米国の経済成長は1-3 月期(第1 四半期)は冴えなかったものの現在は加速しており、世界の成長も長期トレンドを依 然として上回っているため、グローバル株式は緩やかな上昇を続けると予想する。貿易を巡る緊張が高まったにもかか わらず、ここ数カ月間の市場への影響が限定的であったことは、関税による経済への影響が最小限にとどまっているこ とを物語る。経済への直接的な影響は限定的とみられるが、追加関税措置のタイミングが不透明であることから、相場 の変動が大きくなる可能性があるため、投資家は状況を注視すべきである。

Jason Draho

Head of Asset Allocation Americas



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