CIO Reaction ECB、12月に量的緩和終了を決定

欧州中央銀行(ECB)は、12月に量的緩和政策を終了する方針を定め、金利については少なくとも2019年夏までは現在の水準にとどめる見通しを示した。ECBは債券購入プログラム終了によって、金融政策の正常化に向けた重要な一歩を踏み出すことになる。これにより、世界の主要中央銀行の中では日本銀行だけが、量的緩和策の終了を発表していない中央銀行となった。

14 6 2018

概要

欧州中央銀行(ECB)は、12月に量的緩和政策を終了する方針を定め、金利については少なくとも2019年夏までは現在の水準にとどめる見通しを示した。ECBは債券購入プログラムを2015年3月に開始し、以来2兆5,000億ユーロを超える債券を購入してきた。同プログラムの終了によって、ECBは金融政策の正常化に向けた重要な一歩を踏み出すことになる。これにより、世界の主要中央銀行の中では日本銀行だけが、量的緩和策の終了を発表していない中央銀行となった。米連邦準備理事会(FRB)は2014年に3兆5,000億米ドルに及ぶ債券購入を終了し、昨年後半からバランスシートの縮小に乗り出している。主要中央銀行が危機対応の刺激策から撤退することを受け、FRB、ECB、イングランド銀行、日銀による債券取引を合算すると、今年の10-12月には売り越しに転じると予想される。

市場は当初ECBの政策声明を緩和的と解釈した模様で、量的緩和の終了よりもむしろ、金利が長期間据え置きになるとの見通しに注目した。ユーロは対米ドルで1.3%下落し、ドイツ10年国債利回りは0.42%へと5ベーシスポイント(bp)低下。ユーロストックス50指数は1.3%上昇した。

今後の展開

市場では、ECBは7月26日の政策理事会まで量的緩和策終了の発表を遅らせるとの見方の方が若干多かった。予想よりも早い発表は、インフレ率がECBの目標水準(2%近く)に向けて上昇しているというECB理事らの確信を反映している。2018年1-3月期(第1四半期)の国内総生産(GDP)成長率は前期比+0.4%と、2017年第4四半期の+0.7%から鈍化した。つまり、ユーロ圏の景気指標がやや鈍化したにもかかわらずECBは量的緩和終了の決断を下したことになる。我々は、今回の成長率低下は特別要因によるもの(休日や休暇取得が多かった、ストライキ、インフルエンザの流行による労働者の欠勤など)と捉えている。その意味で、我々はECBと同様、楽観的な見方をしている。

投資見解

今後ECBの金融政策の転換点となるのは、ECBが中期的にユーロ圏国債利回りの上昇を後押しする時だろう。米国との利回り格差が少しでも縮小すると、それがユーロの下支え要因になるからだ。ユーロ圏の景気指標が軟化し、イタリアではポピュリスト政権誕生への懸念が高まる中、ユーロ(対米ドル)は4月と5月で7%近く下落した。ユーロ/米ドルは購買力平価が1.29に対し、現在のスポット価格は1.16と、ユーロは対米ドルで割安の状態にある。ただしユーロがここから反発し上昇を続けるには、ユーロ圏経済の軟化が終わり、イタリアの政治リスクが消え、米10年国債利回りがここからさほど上がらないことを示すデータがさらに必要だ。ユーロ/米ドルに対する我々の現在のスタンスは中立である。最近では1カ月当たり50億ユーロで推移してきた社債購入が終了すると、欧州クレジット市場の重要な下支えがなくなることになる。世界の景気サイクルが成熟期にあることから、投資家には、債券やローン等のクレジットの保有比率が戦略的資産配分を上回っている場合には、資産配分の見直しを勧める。

我々は、ECBによる量的緩和策の段階的な縮小は、2013年に起きたFRB発の「テーパー・タントラム(米国の量的緩和縮小観測を受けた市場の混乱)」のような大きな混乱を起こすとはみていない。ECBによる今回の発表はコンセンサス予想よりも1カ月早かったが、市場は今年の夏には量的緩和策の終了が発表されることを予想していたからだ。各国の経済成長率と企業収益の伸びはともに好調で、世界経済は引き続き堅調だ。したがって、グローバル株式は今後も上昇を続けるだろう。

Mark Haefele

Global Chief Investment Officer



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