CIO reaction 景気減速への懸念が続く

米国の S&P500 種株価指数は 17 日にも 2.1%下落し、9 月 20 日の高値 2,930 からの下落率は 13.1%となった。ラッセル 2000 小型株指数は 2.3%下落した。同指数は 8 月下旬の高値から 20%以上下落し、「弱気相場入り」とみなされる水準となっている。米国債の価格はリスクオフ・センチメントの高まりにより上昇した。米国 10 年国債の利回りは 3 ベーシスポイント(bp) 低下し、2.86%となった。

17 12 2018

何が起きたのか?

米国のS&P500種株価指数は17日にも2.1%下落し、9月20日の高値2,930からの下落率は13.1%となった。ラッセル2000小型株指数は2.3%下落した。同指数は8月下旬の高値から20%以上下落し、「弱気相場入り」とみなされる水準となっている。米国債の価格はリスクオフ・センチメントの高まりにより上昇した。米国10年国債の利回りは3ベーシスポイント(bp) 低下し、2.86%となった。

17日の米国セクターの動きは通常のリスクオフ局面とは異なる展開となった。公益事業、生活必需品、ヘルスケア・セクター等、ディフェンシブ・セクターがいずれも市場全体のパフォーマンスを下回り、一方で景気感応度の高い金融、資本財・サービス、素材、エネルギー・セクターがパフォーマンス上位セクターに並んだ。しかし、10-12月期(第4四半期)に総じて見られたように、テクノロジー株、インターネット小売株を中心にグロース株がバリュー株以上に売られた。

最近のグローバル株式市場は米国株式市場に比べていくぶん底堅い動きとなっている(図表1参照)。17日も、欧州の主要株価指数の下落率は概ね1%程度、アジア株式市場は大半が横ばいから小高く終わった。

図表1:最近の米国株式はグローバル株式をアンダーパフォームしている

グローバル株式に対する米国株式の相対パフォーマンス(2018年7月31日以降)

出所:ブルームバーグ、UBS、2018年12月17日現在

下落のきっかけは何か?

景気後退とは言わないまでも、世界景気の減速局面入りに対する懸念が、今回も株式市場下落の原因になったと考える。17日に発表された12月のニューヨーク連銀製造業景況指数(通常、市場の変動要因とはならない地区指標)は10.9と、11月の23.3から急落し、19カ月ぶりの低水準となった。同指数が足元の水準を下回ったのは、2015年年初から2017年年初までの期間であった。また、全米住宅建設業協会(NAHB)が発表した12月の住宅市場指数は56と、前月の60から4ポイント低下し、15カ月ぶりの低水準となった(ただし、依然として拡大を示す水準)。

政治上、金融政策上の不確実性の高まりも市場の悲観ムードに拍車をかけたと考える。市場は、米連邦準備理事会(FRB)が19日に25bpの利上げを行うと予想しているようだが、著名投資家からはその利上げペースに疑問を投げかける声も聞かれる。ヘルスケア・セクターは、14日にジョンソン&ジョンソンがアスベスト訴訟懸念から10%急落したのを受けてアンダーパフォームしたが、週明け17日にも、テキサス州連邦地裁が米医療保険制度改革法(いわゆる「オバマケア」)について違憲判決を下したことから、再び下落した。また、今週後半に政府機関の一部が閉鎖となる可能性も高まっており、経済にはおそらく大きな影響はないものの、トランプ政権の手詰まり感が鮮明となっている。

投資見解

グローバル株式等、足元のリスク資産の下落は行き過ぎと考える。S&P500種構成企業の2018年の1株当たり利益(EPS) 成長率は23%と予想されている一方で、米国の年初来の株価下落率は約5%に達している。そのため、米国株式市場のバリュエーションは2016年年初以来の水準まで低下している。しかし、市場が反発するためには、我々が予想する基本シナリオの、全てとまでは言わないまでも、一部の想定が実現する必要があると考える。特に、経済成長トレンドが安定し、中国との貿易交渉に進展の兆しが見え始め、FRBが金利正常化アプローチに慎重姿勢を示すことが必要になるとみている。

ここ数カ月は米国以外の株式市場が緩やかなアウトパフォーマンスを示していることからも、グローバル株式市場への分散投資がいかに重要かが改めて確認される。また下落局面でポートフォリオの安定化を図るため、カウンターシクリカル(反景気循環)なポジションも引き続き保有することを推奨する。信用力の高い債券も、株式市場のリスクヘッジとして、ポートフォリオの重要な構成要素である。またオプションの組入れが可能な投資家は、プロテクションとしてS&P500種のプットオプションの購入検討も勧める。




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