CIO reaction グローバル株式、再び急落

米中貿易交渉の見通しと経済成長減速への懸念が再燃し、グローバル株式は再び下落を始めた。 急落の第 1 の理由は、米中首脳会談による米中貿易紛争の一時休戦が短命になりかねないとの投資家の懸念が高まっていることだ。第 2 の理由は、イールドカーブのフラット化が不安要因として指摘されていることだ。こうした懸念については今後も注視していく必要があるだろう。だが、市場の反応は行き過ぎであり、これらのリスクが過度に織り込まれていると我々は考える。

06 12 2018

米中貿易交渉の見通しと経済成長減速への懸念が再燃し、グローバル株式は再び下落を始めた。

急落の第1の理由は、12月1日の米中首脳会談による米中貿易紛争の一時休戦が短命になりかねないとの投資家の懸念が高まっていることだ。米国が中国ハイテク企業、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)の米国への引き渡しを要請したことで、米中交渉が上手く進展しないのではないかとの懸念だ。このニュースに先立って、トランプ大統領は4日、ツイッターで自身を「タリフ・マン(関税を好む男)」と呼び、中国製品への高い関税を課すことは米財政にはプラスだと主張した。

G20では、米国は2019年1月1日から予定されていた、2,000億米ドル相当の中国製品への上乗せ関税を10%から25%に引き上げる計画の延期を発表した。しかしながら、米国は90日間の交渉を経て合意に達しなければ、関税引き上げ計画を予定通り実行すると警告している。

第2の理由は、様々な報道でイールドカーブのフラット化が不安要因として指摘されていることだ。注視されている米国の2年債と10年債の利回り格差は11年ぶりの低水準である12ベーシスポイント(bp)にまで縮小した。これにより、景気後退の前兆と見なされることがある「逆イールド」発生への不安が高まった。さらには世界的な景気減速への懸念も拡大させた。中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が景気拡大と景気後退の判断の分かれ目となる50にまで低下するなど、今週発表されたデータからは、中国製造業の減速が続くことが示唆されている。

第3の理由は、石油輸出国機構(OPEC)の交渉がボラティリティ(相場変動)上昇に寄与したことだ。同機構が6日の記者会見を急遽中止したため、減産合意に達しないことへの懸念が高まった。これを受けてWTI原油は4.6%安の1バレル=50.8米ドルに下落。米国の石油・ガス会社の株式は4.2%下げた。

こうした懸念については今後も注視していく必要があるだろう。だが、市場の反応は行き過ぎであり、これらのリスクが過度に織り込まれていると我々は考える。

華為技術のCFOの逮捕は、米中の緊張が根深く、直ちに解消されるものではないとの我々の見方を裏付けている。しかしながら、このリスクの多くはすでに市場に織り込み済みである。そしてトランプ米大統領が1月に予定されていた関税の引き上げを猶予したことは、対中問題への柔軟な姿勢の表れとして好感された。

また、イールドカーブのフラット化がリスクオフの確定的な兆候であるとは言えない。1つには、イールドカーブがフラット化した背景には、米連邦準備理事会(FRB)のハト派的な姿勢や、原油価格の下落、インフレの軟化、債券の売りポジションの解消など、必ずしも株式にとってマイナスではない要因もあるからだ。2年米国債と5年米国債の利回りが10年以上ぶりに逆転したが、これまで景気後退の予兆として受け止められてきた3カ月物または2年国債と10年国債との利回りが逆転する可能性は低い。さらに、たとえ2年国債と10年国債の間で逆イールドが発生しても、景気後退が差し迫っている兆しにはならないとみている。景気後退は、過去を振り返ると逆イールド発生から9-34カ月後(平均では21カ月後)に始まっている。1960年以降S&P500種株価指数は、2年国債と10年国債の利回り格差がフラットになるまでの12カ月で、平均15%上昇した。逆イールド発生からその後の株価のピークまでのS&P500種のリターンは平均29%となっている。

また、我々は最近下落していた原油価格が回復する可能性が高いと考えている。12月7日には、OPECおよびロシアなどの非加盟産油国による減産の規模が明確になるはずだ(訳注:7日のOPECプラス会合で日量120万バレルの減産で合意)。さらに、米国の対イラン制裁発動によりイラン産原油の輸出が減少するため、世界の原油供給がひっ迫するとも予想する。たとえ原油価格が低迷し続けても、マイナスの影響ばかりではない。原油セクターへの投資は抑制されるものの、原油価格の低下により、中央銀行は緩和政策を継続しやすくなり、消費支出にとってもプラスに働く。

投資見解

10月初旬からの株価下落によって、グローバル株式の株価収益率(PER)は過去30年の平均を約15%下回る水準にまで押し下げられた。グローバル経済の成長が続き、企業利益もプラスで推移しているため、我々はグローバル株式のオーバーウェイトを維持する。とは言え、景気サイクルが成熟期を迎え、米中の緊張も長引いていることから、投資家は市場の変動率の上昇に備える必要がある。テールリスク(確率は低いが、発生すると非常に巨大な損失をもたらすリスク)が実現した場合の下落を緩和するため、米10年国債のオーバーウェイトなど、カウンターシクリカル(反景気循環)なポジションも引き続き保有することを推奨する。




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