CIO Reaction 米中貿易紛争は一時緩和の兆し

追加関税導入の延期は我々の基本シナリオよりはポジティブな展開であり、会談の結果によって最近のグローバル株式の下落をさらに悪化させかねない事態に陥ることは回避された。

02 12 2018

注目されていた米中首脳会談が1日に実施された。米中の貿易を巡る緊張が緩和するとともに、交渉の継続が確認された。米政府は、来年1月1日から予定されていた2,000億米ドル相当の中国製品への上乗せ関税を10%から25%に引き上げる計画を延期する意向も示している。その見返りに、中国は米国から農業、エネルギー、工業製品を「相当量」輸入することで合意した。交渉は3カ月後を期限とし、知的財産権の侵害と技術移転の強要に関する問題から協議される。条件面で合意できなければ中国製品への関税を当初の予定通り引き上げる方針を米政府は示している。

今回、市場はこのニュースがリスク資産にとってはややプラスであると受けとめている。米中会談に向けての楽観的な兆しと米連邦準備理事会(FRB)が追加利上げに関してより柔軟になるとの認識から、グローバル株式は先週後半に上昇した。

G20関連ニュースとして他にも、石油輸出国機構(OPEC)とロシアが最近の原油価格の下落を食い止めるために協力していく姿勢が見られたことも注目される。週末には北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新たな貿易協定への署名も行われた。ただしこの新協定は米国、カナダ、メキシコの議会によって批准される必要がある。また、ジョージ・H・W・ブッシュ元米大統領が11月30日に94歳で死去したことを受けて12月5日(水)が国民追悼の日に定められたため、この日には米国市場と米連邦政府は閉鎖される。

トランプ米大統領は中国との二国間会合を「素晴らしくて生産的」と表現したが、我々は米中の対立が、特に知的財産権と市場アクセスの問題に関して、容易に解消されることはないと考えている。交渉決裂は引き続き市場とグローバル経済にとってのリスクとなる。米国の他の貿易相手国との通商関係も依然として緊張状態にある。我々は米政府による輸入自動車への追加関税導入のリスクに引き続き注視する。これはドイツと日本の自動車セクターにとっては強い逆風になるだろう。

しかしながら、追加関税導入の延期は我々の基本シナリオよりはポジティブな展開であり、会談の結果によって最近のグローバル株式の下落をさらに悪化させかねない事態に陥ることは回避された。ネガティブなシナリオとしては、新たに2,670億米ドル相当の中国製品に高い関税が直ちに課せられると考えられていた。さらなる追加関税は中国の高付加価値のあるIT製品を対象としていたため、実施されれば世界のサプライチェーンに多大な混乱を引き起こしただろう。

投資見解

G20会議の結果は、ややリスクオンという我々のスタンスを下支えする。我々は11月の米中間選挙後に、経済成長減速と貿易摩擦悪化に対する懸念を反映し相場調整が行われたとの見方に基づき、グローバル株式のオーバーウェイトを強化した。ここ1週間で我々は、トランプ政権とFRBが市場と経済への影響を考慮することなく独断的に政策を進めているわけではないことを確認している。よって、グローバル株式と米ドル建て新興国国債についてはオーバーウェイトを維持する。一方で、政策や経済関連のニュースによって相場の変動が高まるとの予想も維持している。そのため我々は、株式へのオーバーウェイトの他に、米10年国債や対台湾ドルでの日本円のオーバーウェイトなど、カウンターシクリカル(反景気循環)なポジションとでバランスを取る。




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