CIO Reaction 米中間選挙、民主党が下院で過半数奪還

過去2年にわたり上下両院を共和党が制してきた米国議会は、民主党が下院で過半数を奪還したことで、再びねじれ状態となった。本レポート執筆時点で、民主党は下院で共和党から26議席を奪還し、獲得議席数は過半数確保に必要な23議席を上回った。最終結果はまだ判明していないため、民主党が最終的に増やした議席数は30議席を超える模様だ。これは過去の平均に並んでいる。中間選挙では大統領の所属する党が下院で31議席程度失うケースが多い。

07 11 2018

過去2年にわたり上下両院を共和党が制してきた米国議会は、民主党が下院で過半数を奪還したことで、再びねじれ状態となった。本レポート執筆時点で、民主党は下院で共和党から26議席を奪還し、獲得議席数は過半数確保に必要な23議席を上回った。最終結果はまだ判明していないため、民主党が最終的に増やした議席数は30議席を超える模様だ。これは過去の平均に並んでいる。中間選挙では大統領の所属する党が下院で31議席程度失うケースが多い。

中間選挙では36州で知事選も実施されたが、民主党はここでも7州で共和党から知事の座を奪取し、民主党州知事が増える見通しだ。州知事は2020年の国勢調査後に行われる下院選挙区の区割り変更で大きな発言力を持つため、今後の国政にも影響が及ぶ可能性がある。一方、上院は共和党が議席数を増やし、多数派を維持した。人事承認権限を持つ上院を共和党が制したことで、トランプ大統領は連邦裁判所判事や閣僚の指名を容易に進めることができる。

市場への影響

選挙結果を受けてリスク資産は上昇した。S&P500種株価指数先物は前日の0.6%高からさらに1%近く上昇した。ユーロ・ストックス50指数は1.2%上昇した。米ドル指数(DXY)は0.6%下落、米10年国債の利回りは4ベーシスポイント(bp)低下して3.18%となった。

今回の選挙結果は大方の予想通りだったため、相場の方向性を大きく変えるような直接の影響はほとんどないだろう。「ねじれ議会」誕生で一段の景気刺激策の導入は難しくなる。所得減税の恒久化は実現のめどが立たなくなり、財政赤字もこれ以上拡大する可能性が少なくなる。しかし、たとえそうであっても、財政収支と経常収支の双子の赤字は今後12カ月の米ドルの重石となると予想する。

選挙結果は米国株式全般の見通しには影響しないと考えるが、セクター別では影響が及ぶとみている。民主党が下院を制したことで、金融サービス・セクターの規制緩和は遅れる可能性がある。特に、2008年の金融危機を契機に成立した金融規制改革法(ドッド・フランク法)の一部撤回を狙った法案成立が難しくなるだろう。しかし、金融サービス・セクターについては、金利上昇やデフォルト(債務不履行)率の低下などを背景に、なお楽観的な見通しだ。

一方、資本財セクターの下支え要因は後退するとみられる。民主党はインフラ投資の拡大には賛成するかもしれないが、その財源として防衛費の削減を求める可能性があるからだ。また、サイクルのピークアウト懸念や保護貿易主義の高まりが成長の足かせとなっているため、我々は同セクターに対し慎重な姿勢を維持する。

政策への影響

政策面では、今回の選挙結果により重要法案の成立は2020年の選挙後まで先送りされることになるだろう。社会保障制度改革が実施される可能性は非常に低く、税制改革も今後2年間は棚上げされるだろう。

議会運営が硬直化する可能性が高いため、トランプ大統領が政策決定で主導権を握るのは貿易など議会承認を必要としない政策領域に限定されるだろう。よって、トランプ政権は今後も関税によって貿易相手国(特に中国)に圧力をかけると予想される。

超党派的な取り組みは極めて稀であるため、議会は両党の妥協点を見出すことができなければ、今後2年間は重要法案の成立は難しくなるだろう。貿易、移民、インターネット規制などの一部の重要政策に関しては2020年の大統領選後まで引き続き大統領府が最終決定を下すことになるだろう。




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