CIO Reaction 調整局面の中に投資機会

グローバル株式市場は 26 日、再び下落した。S&P500 種株価指数が 1.7%、欧州株式(MSCI 欧州通貨圏(EMU)指数)が 0.3%、アジア市場が 0.5~1%下げて取引を終了した。その結果、グローバル株式はこの 1 カ月で 9.1%下げ、ピーク時からの下落幅は13%となった。景気サイクルの後半には相場変動の拡大が予想される。とはいえ、10 月の株価急落は、継続的な株価下落をもたらす前兆ではなく、継続する強気相場の中での調整と我々は考えている。

26 10 2018

グローバル株式市場は26日、再び下落した。S&P500種株価指数が1.7%、欧州株式(MSCI 欧州通貨圏(EMU)指数)が0.3%、アジア市場が0.5~1%下げて取引を終了した。その結果、グローバル株式はこの1カ月で9.1%下げ、ピーク時からの下落幅は13%となった。

米国株式反落の引き金となったのは一部の米ハイテク企業が発表した業績見通しが予想に届かなかったことだ。その後、半導体、資本財をはじめとする景気敏感セクターの一部企業や、欧州の人材派遣会社から発表された業績が予想を下回ったことも追い討ちをかけた。こうした期待はずれの業績発表に加え、金利上昇や貿易関税の影響懸念が重なって、世界全体で景気減速への警戒感が高まった。

数カ月前に「ボラティリティの再来:備えは万全か?」で指摘したように、景気サイクルの後半には相場変動の拡大が予想される。とはいえ、10月の株価急落は、継続的な株価下落をもたらす前兆ではなく、継続する強気相場の中での調整と我々は考えている。その理由としては以下の点が挙げられる。

  • 経済成長の鈍化は緩やかなものに留まると予想される。貿易関税の影響と金融政策の引き締めは確かに経済成長にとって逆風である。しかし、米国の景気先行指標は依然として好調で、個人消費も力強い。株式と債券の下げも現在のところは深刻な負の資産効果をもたらすほどではない。欧州の景況感は弱まってきたが、自動車業界の排ガス規制強化への対応など一時的な要素が大きく影響している。中国では、最近の景気刺激策の効果がまもなく現れ始めるだろう。
  • 企業収益の伸びは、一部セクターは鈍化したものの、全体としては引き続き堅調である。S&P500種構成企業の7-9月期(第3四半期)の1株当たり利益(EPS)は前年同期比24~25%の増益、売上高の伸びは同7%に達する見通しだ。米国では2019年には法人税減税による前年比効果が剥落して増益率は減速するだろうが、なお4%の伸びを我々は予想している。欧州でも1桁台半ば、新興国では8%の伸びを見込んでいる。
  • 今回の急落の結果、バリュエーションは長期平均並みかそれ以下まで低下している。12カ月予想株価収益率(PER)でみると、S&P500種は30年平均を若干上回っているが、米国以外の先進国および新興国の株式市場では各国の30年平均を20%近く下回る水準で取引されている。
  • クレジット・スプレッドは懸念される水準にはない。スプレッドの拡大は継続的な株価下落の先行指標となるが、今回は、投資適格債のスプレッドの拡大幅が急落開始以来でわずか8ベーシスポイント(bp)、ハイイールド債は年初来で変わっていない。

以上のように、経済成長、企業収益、バリュエーションがいずれも堅調であること踏まえ、我々はグローバル株式の小幅のオーバーウェイト、米ドル建て新興国国債、イタリア2年国債のオーバーウェイトを継続する。投資家は最近の相場変動を、目標とする資産配分に向けた株式ポートフォリオのリバランスの機会と捉えるとよいだろう。我々は、現時点では反景気循環的なポジションを加えないものの、米10年国債と日本円のオーバーウェイト、S&P500種株価指数のプット・オプションなど、ポートフォリオの安定剤として今年初めに加えたポジションの推奨を継続する。

 今後数カ月については、景気先行指標の変調、企業業績予想の修正、中国の景気刺激策の影響、米中関係(とりわけG20サミット)、クレジット・スプレッドなど、リスク資産を増やし、市場のボラティリティ(変動)に対応するための機会を提供するような変動イベントを注意深く監視していく。




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