CIO Alert 米中貿易交渉とイールドカーブへの懸念で米国株急落

米中貿易紛争の一時緩和を受けた米国株式相場の上昇は1日で終わってしまった。アジア市場で始まった株式相場の下落は米国市場で加速した。S&P500種株価指数は4日、前日比3.25%安となった。急落までの6日間で、同指数は6%上昇していた。最も下げたのが資本財と金融セクターだ。これから、2つの急落要因が伺える。米中首脳会談の成果への疑念と米国債利回り低下に対する市場の解釈だ。

05 12 2018

米中貿易紛争の一時緩和を受けた米国株式相場の上昇は1日で終わってしまった。アジア市場で始まった株式相場の下落は米国市場で加速した。S&P500種株価指数は4日、前日比3.25%安となった。急落までの6日間で、同指数は6%上昇していた。最も下げたのが資本財と金融セクターだ。これから、2つの急落要因が伺える。米中首脳会談の成果への疑念と米国債利回り低下に対する市場の解釈だ。

「私はタリフ・マン(関税を好む男だ)」

トランプ米大統領は4日ツイッターで、米中交渉で90日以内に実際に進展がみられない場合は関税を増やすとつぶやいた。前日の市場は米中交渉への期待から上昇したが、このトランプ大統領の発言に市場は困惑し急落を引き起こした。これまで数カ月に渡り実施されてこなかった米中貿易交渉が再開することになり、来年1月1日からの関税率引き上げも一時中止となった一方で、今後の米中貿易交渉が困難な道のりであることと、それが相場の大きな変動を引き起こすことは明らかだ。

米中貿易問題に関するトランプ大統領の発言の他に注目されたのが、米国債利回りの下落と逆イールドだ。前日の3日に既に米国債の5年対3年で逆イールドとなり、4日には10年債の利回りが6ベーシスポイント(bp)低下した。こうした利回り急落は景気後退を示唆するものと市場が受け止め、米株式相場急落のもう1つの要因となった。

しかし我々は次の2つの理由から、一連の利回りの動きが景気後退の兆候ではないと捉えている。まず、米長期国債(〜20年)先物の投機的売りポジション(約定していない契約数)は2010年以来の規模に積み上がっていることから、投資家は長期米国債の利回り上昇を見込んでいることがわかる(図表1)。よって、売りポジションの解消が4日の利回り低下の大きな要因となっていると理解できる。次に、過去7回の景気後退の前に、イールドカーブ(10年対2年)は確かに逆転しているが、最初の逆イールドから景気後退に突入するまでの期間は、過去2回の景気後退で24カ月以上となっている。つまり、逆イールドは景気後退の兆候にはなっていないということだ。

図表1:長期米国債の売りポジションは2010年以来最大

投機筋の米長期債のネット先物ポジション(米商品先物取引委員会(CFTC)、単位:1,000)

出所:ブルームバーグ、UBS、2018年12月4日




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