CIO Alert グローバル株式のオーバーウェイト拡大

高格付債に対するグローバル株式のオーバーウェイト幅を引き上げる。我々は10月の相場急落を、弱気相場の始まりではなく、強気相場が継続する過程での調整とみている。MSCIオール・カントリー・ワールド指数は現在、ピークからおよそ6%下の水準にあることから、我々はこれを投資機会と捉える。

07 11 2018

高格付債に対するグローバル株式のオーバーウェイト幅を引き上げる。我々は10月の相場急落を、弱気相場の始まりではなく、強気相場が継続する過程での調整とみている。MSCIオール・カントリー・ワールド指数は現在、ピークからおよそ6%下の水準にあることから、我々はこれを投資機会と捉える。

7月にグローバル株式のオーバーウェイト・ポジションを引き下げて以来、株価は一時最大で7%下落し、現在もおよそ4%の下落となっている。もちろん、今回の大幅下落には何も原因がなかったわけではない。米国の実質金利は上昇を続けており(10年実質金利は8月末以降でおよそ40ベーシスポイント(bp)上昇している)、非難の応酬が続く米中貿易紛争は早々に解決しそうにない。また、世界経済の成長率に関する最近のデータは事前予想をやや下回っている。さらに、最近の急落でテクニカル環境は悪化した。市場モメンタムは弱まり、相場の変動率は高まり、クレジット・スプレッドは高まった。以上から、目先での株式市場の下落リスクは高まっているため、しばらくは相場の変動が続くだろう。

こうした投資環境の中で株式の保有比率を増やすことによる潜在リスクを我々は十分認識しているものの、今回の急落は行き過ぎと考える。2019年の企業収益については、米国とアジアにおける関税の影響や経済成長率の緩やかな減速見通しを踏まえ、比較的慎重な見方をしているが、バリュエーションはなお魅力的と考える。新興国株式は、利益予想ベースでの株価収益率(PER)が現在はおよそ11倍と、30年間の平均である13倍に比べ割安の水準にある。ユーロ圏株式の予想PERはおよそ12倍と、これも長期平均の14倍を下回っている。一方、米国株式のバリュエーションを見ると、12カ月予想PERは16倍をちょうど超えたところで、長期平均の15.6倍に比べると決して割安ではない。しかし、米国株式のリスクプレミアム(債券に対する株式の相対的なバリュエーション指標)は4.6%と、長期平均の3.2%を上回っており、依然として債券より投資魅力は高い。

さらに、現在の景気指標と企業業績も、依然として株価の下支え材料だ。現在までにS&P500種株価指数の構成企業の4分の3が7-9月期(第3四半期)業績の発表を終えているが、一株当たり利益(EPS)は前年同期比27%増益となる見通しだ。アナリストの事前予想を上回っている企業の割合は80%近くと、長期平均の64%を大きく上回る。一方、ユーロ圏の企業は、EPSの伸びが7%程度と、米国企業ほどの好業績ではないが、ユーロ圏経済が一時的な鈍化から回復し始めていることを示す明るい兆候が見えてきた。9月のドイツの鉱工業生産指数は前年同月比0.8%上昇と、やや持ち直した。中国では、直近の購買担当者景気指数(PMI)が事前予想を若干上回り、固定資産投資の伸びも安定の兆候を見せ始めている。

市場が予想していないプラス材料が出現する可能性もある。11月末に予定されている20カ国・地域(G20)財務大臣・中央銀行総裁会議で、米中間に何らかの通商上の合意がなされるとの期待は当然低いが、交渉で進展がみられる可能性が全くないとも言い切れない。習近平国家主席とトランプ大統領の最近の発言からは歩み寄りの姿勢も見て取れる。トランプ大統領の場合、当初の厳しい発言が時間とともに和らぐ場合があることは、とりわけ対北朝鮮、北米自由貿易協定(NAFTA)、欧州連合(EU)との自動車関税交渉などで前例がある。また、中国には必要性に応じて柔軟に景気刺激を行うだけの余裕があり、米連邦準備理事会(FRB)は相場変動が続くか景気指標が悪化した場合に利上げペースを緩める可能性もある。

強気相場は明らかに成熟期にあり、通常、相場変動が大きくなり、株価上昇余地も縮小する。しかし、グローバル株式の現在のバリュエーションは、今後の相場変動を考慮しても十分魅力的な水準にあると判断しており、今後6カ月間の戦術的な投資期間で株式相場は上昇に向かうと予想する。米10年国債と日本円のオーバーウェイトおよびS&P500種のプット・オプションといったカウンター・シクリカルな(反景気循環的)ポジションも、相場変動時にはポートフォリオの安定に寄与するだろう。




資産運用のご相談・お問い合わせはUBS銀行へ

UBSウェルス・マネジメントでは、富裕層のお客様の資産管理・運用を総合的にサポートしております。日本においては、2億円相当額以上の金融資産をお預け入れくださる方を対象とさせていただいております。