CIO Alert 米国の強気相場は一時調整も、まだ終わらず

米国株式が10日、急落した。米国株式市場の主要指数は軒並み3%超下げて取引を終えた。S&P500種株価指数は3.3%安、ダウ工業株30種平均は3.15%安、ナスダック総合株価指数は4.1%安となった。S&P500種はこの1週間で4.8%下落した。下落の規模は大きいが、重要なのはこうした動きを正しくとらえることだ。S&P500種は第3四半期に約8%上昇し、年初来のトータルリターンは5.8%となっている。

10 10 2018

米国株式が10日、急落した。米国株式市場の主要指数は軒並み3%超下げて取引を終えた。S&P500種株価指数は3.3%安、ダウ工業株30種平均は3.15%安、ナスダック総合株価指数は4.1%安となった。S&P500種はこの1週間で4.8%下落した。下落の規模は大きいが、重要なのはこうした動きを正しくとらえることだ。S&P500種は第3四半期に約8%上昇し、年初来のトータルリターンは5.8%となっている。

今回の株価急落にはいくつかの要因がある。

1つ目は、最近の米国金利の上昇によって、相対的に株式の魅力が薄れたことだ。米10年債利回りは、10月だけで約20ベーシスポイント(bp)上昇するなど、過去6週間の上げ幅は40bpを超えている。これは市場が、米連邦準備理事会(FRB)の利上げに対する積極的な姿勢を織り込んだからだ。ちなみに、米10年債利回りは1月にも40bp上昇して2月初めの調整局面を招いたが、その後の6カ月間は安定的に推移した。重要なことは、米10年債利回りも今日の株価下落に伴って低下しており、ポートフォリオを安定させる役割を依然として担っていることだ。

2つ目は、ようやく米国株式が、追加関税による企業収益への影響を織り込み始めた様子がうかがえることだ。ここ数日、中国との貿易に関わる一部の企業が、追加関税導入に伴うコスト上昇と需要低下が自社のビジネスに悪影響を及ぼし始めたと指摘している。米国株式市場は、他の株式市場と比べて、貿易摩擦が激化する中、堅調に推移してきたが、そのコストが明らかになるにつれて下落しやすくなっている。

3つ目は、利上げによって、経済が景気サイクルの後半に突入し、今後は成長が鈍化するとの懸念が高まったことだ。ここ1週間は、ディフェンシブ・セクターのパフォーマンスが市場全体を上回っている。グロース(成長)株は6.7%下落したが、これは割高だったモメンタム株が売られた結果である。一方、バリュー株の下落率はわずか3%だった。経済成長が減速に転じるリスクが大きい場合に、バリュー株がアウトパフォームすることはないだろう。

米国経済と企業収益のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)の堅調さは、この1週間でも変わっていない。間もなく始まる第3四半期決算発表のシーズンを前に、我々は企業の1株当たり利益(EPS)の伸びが、今年の第1、第2四半期とほぼ同水準の23-24%程度になると予想する。確かに、焦点は今後の企業ガイダンス(利益予想)になるだろうが、大半のセクターにとって、これまで発表された関税措置の影響はそれほど大きくない。影響を受けるセクター(素材、資本財、テクノロジー、一般消費財)でさえ、基本的なトレンドは依然としてかなり良好な模様だ。また、金利が緩やかなペースで上昇し続けても、成長モメンタムが強いため、経済は上昇に耐えられると思われる。

よって、ファンダメンタルズの見通しを踏まえ、我々は戦術的資産配分でのリスク資産のオーバーウェイトを引き続き推奨する。これには、グローバル株式及び米ドル建て新興国国債のオーバーウェイトが含まれる。ちなみに今夏は、米国の通商政策が株価にまだ織り込まれていないとの見方から、グローバル株式のエクスポージャーを減らした。また、これまでのレポートでも、景気サイクルが成熟するにつれ、市場の変動が高まり相場が下落する局面が今よりも増えることは指摘してきた。従って、当面続きそうな強気相場において、ここ1週間の市場の動きは、ある程度想定の範囲内であると捉えられる。




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