CIO Note 南北首脳会談:市場は冷静に反応

板門店宣言に対し、市場は当初冷静な反応を示した。韓国総合株価指数(KOSPI)とS&P 500種株価指数の先物市場は、いずれもわずか0.2%の上昇にとどまった。今後の展開が現時点では判然としない以上、市場は適切な反応を示したと我々は考える。

27 4 2018

概要

南北首脳会談は、朝鮮半島の70年にわたる紛争の終結に向け一歩前進したことを意味する。4月27日に行われた歴史的な会談で、韓国と北朝鮮は①1953年の休戦協定を年内に平和協定に移行、②軍事行動の停止、③完全な非核化と段階的な軍縮に向けた行動など、複数の目標を設定した。今回の会談は朝鮮半島における緊張関係の本格的な雪解けを示唆しているようにもみえる。

板門店宣言に対し、市場は当初冷静な反応を示した。韓国総合株価指数(KOSPI)とS&P 500種株価指数の先物市場は、いずれもわずか0.2%の上昇にとどまった。今後の展開が現時点では判然としない以上、市場は適切な反応を示したと我々は考える。しかし、世界的な貿易紛争の脅威といった政治リスクは大幅に低下したことで、投資家の関心は世界経済の持続的な成長と力強い企業収益に向かうかもしれない。

今後の展開

南北首脳会談の融和的な雰囲気は将来に期待を抱かせるが、非核化の範囲と段階的な軍縮の合意については、今後の展開を待つことになる。これらは、合意内容に対する積極的な取り組みと政治経済関係の正常化の前提条件となるが、米国による北朝鮮へのけん制努力と米中間の貿易紛争解決の進展との間にどの程度の関係があるのかは不明確だ。しかし、朝鮮半島で緊張緩和が進めば、北朝鮮の抑制に中国が果たしてきた役割は、もはや関税を回避するための切り札として使えなくなるだろう。

これから先の道のりは長く、過去の合意に対する北朝鮮のこれまでの実績を踏まえれば、懐疑的な見方が多いことも事実だ。首脳会談の楽観的な要素が北朝鮮の報道では触れられなかった点は留意すべきだ。つまり、北朝鮮政府はなお国内向けの報道のトーンを変えたくないことを示唆している可能性があるからだ。北朝鮮のリーダー、金正恩委員長が核兵器の放棄を公約するかどうかは、なお予断を許さない。

市場への影響

投資家は朝鮮半島で突発的な紛争が時折起きても比較的冷静に反応してきた。たとえば、昨年北朝鮮が実施したミサイル発射実験で韓国の株式市場が受けた影響は、1日の平均下落率としては0.1%程度にすぎなかった。しかし、地政学的リスクは市場ボラティリティ拡大の原因となり、時にはリスク資産の上昇モメンタムの鈍化を招いたこともある。

市場は、政治よりも経済と企業収益のファンダメンタルズの影響を主に受けていると我々は考えている。世界の貿易紛争、あるいはイラン核合意の崩壊の懸念といった政治リスクが着実に低下すれば、投資家は企業利益の堅調な伸びへの関心を高めるだろう。とりわけ、我々は米国企業の1-3月期(第1四半期)の増益率が20%を上回ると予想している。これは2010年以来で最も高い。我々はテール・リスク(発生確率は低いものの、発生した場合には重大な影響を及ぼすようなリスク)に備えてカウンター・シクリカル(反景気循環的)なポジションを一部取るものの、グローバル株式と新興国株式のオーバーウェイトを継続する。

Mark Haefele

Global Chief Investment Officer



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