UBS Perspectives 日本版 2011年 秋号 vol.9

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市場の混乱にもかかわらず中国元は緩やかな上昇継続へ

構造的に今後も上昇が見込まれる中国元は、我々が最も選好する通貨の一つであり、長期的な保有が推奨される。膨らむ経常黒字、海外からの資金流入の増加、インフレ抑制の必要性などを考慮すると、今後12ヶ月間に中国元の対米ドルレートは1米ドル6.10元に達することが予想される。

強固な経済成長見通し

中国のマクロ経済データは、引き続き強固な経済成長見通しを裏付けている。2011年第2四半期(4~6月)のGDP(国内総生産)は前年同期比9.5%増と好調であり、鉱工業生産や小売売上高も2ケタの成長を続けている。一方、クレジット(信用)の拡大を示す指標(M2マネーサプライ、新規の中国元ローン等)も2011年の政府目標に沿って順調に拡大している。2011年の成長率は前年の2ケタ成長からは幾分緩やかになるものの、ハードランディング(硬着陸、好況後の景気の急降下)にはならないだろう。さらに、10年以内に中国の経済規模は米国に限りなく近づく公算が大きい。中国元に対する需要の急拡大は続く見込みであり、一層の通貨高の要因となっている。

インフレ抑制のために中国元上昇を許容

中国政府は、インフレ圧力を弱めるために、年率4-5%の中国元上昇を許容するとみられる。政府が最も警戒するのが、インフレ抑制に失敗した場合に起こりえる社会不安の台頭だ。2011年7月、温家宝首相は「インフレ抑制は政府の最優先事項である」と強調した。2012年には指導部の交代が予想されるが、中国元レートを引き上げ、輸入物価を引き下げることでインフレを抑制し、社会不安の高まりを抑える狙いは不変だ。中国のインフレ率(消費者物価指数)は昨今6%台で推移し、ピークをつけたとみられるが、賃金上昇や活発な国内消費等の構造的要因により、今後2年間、4-5%といった高いレンジにとどまるだろう。このため、中国元の上昇を活用してインフレを抑え込む政府の姿勢は変わらないと考えられる。
昨今の金融市場の混乱で日本を除くアジア通貨は米ドルに対して下落しているが、中国元は上昇トレンドを維持している。中国の中央銀行である中国人民銀行は2010年9月に中国元の米ドルに対する上昇を再び許容し始めた。同行は米ドルに対する中国元の日々の基準値を高めに誘導しており、この中国元の上昇トレンドは小刻みに続いていくことになる。

大幅な貿易黒字が続く

中国の経済指標は堅調に推移しており、貿易黒字も7月には2年半ぶりの高水準となる315億米ドルに達した。大幅な貿易黒字を続ける中国に対し、米国からの中国元切り上げ要求はさらに強まる公算が大きい。一方で、安定的な経済成長見通しに裏付けられ、中国政府は中国元の柔軟性を増すために漸進的な金融制度改革を進める余地がある。
中国は3兆米ドル超の世界一かつ圧倒的な外貨準備を保有しており、中国元は通貨の安定性に優れている。中国政府は、潤沢な外貨準備を活用して中国企業の海外展開を支援し、海外投資の拡大を続け、その動向に世界が注目している。さらに中国の財政状況は極めて健全だ。一般政府債務の対GDP比率は17%に過ぎず、累積する財政赤字に悩む米国(87%)、日本(210%)とは対照的である。中国元は巨額の外貨準備および良好な財政状況を背景に、安全避難通貨としての性質も併せ持つようになっている。

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