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スイスの玄関口に生まれる、新たな「都市」

<ザ・サークル>建築家・山本理顕氏インタビュー

スイス・チューリッヒ市の郊外、クローテンに位置するチューリッヒ国際空港。年間約2,200万人が利用し、2009年には「世界空港アワード」*で欧州第1位を獲得したインターナショナル・ハブである。空港に隣接する広大な敷地に新たに生まれる複合施設が<ザ・サークル The Circle>。その設計コンペティションにおいて世界12ヶ国から90チームが参加したプレゼンテーションを勝ち抜いたのが、山本理顕氏率いる山本理顕設計工場だ。2017年の第一次完成を見据え、2013年に着工が始まる。
*スカイトラックス社による

山本理顕氏(やまもと りけん)

1945年中国北京生まれ。
1971年東京芸術大学大学院建築専攻修了。
1973年(株)山本理顕設計工場設立。
2007年~2011年横浜国立大学大学院教授。
受賞歴に、建築学会賞[雑居ビルの上の住居GAZEBO / ROTUNDA](1988年)、公立はこだて未来大学(2002年)、毎日芸術賞[岩出山中学校](1998年)、日本芸術院賞[埼玉県立大学](2001年)。

「複合施設」ではなく、ひとつの「都市」を生み出す

コンサートを楽しむ人がいる。エステやスパで心身を解き放つ人がいる。ブランドの新作コレクションを手に取る人がいる。グルメに舌鼓をうつ人がいる。中世都市を思わせる小径で、ただ目的のない散策を楽しむ人がいる。やわらかな陽射しを受ける小高い丘でコーヒーを片手に談笑する人がいる。グローバル企業で働くオフィスワーカーがいれば、アパートメントホテルに長期滞在し、バケーションを楽しむ人もいる。ここは本当に空港だろうか?その「施設」を正確に表す言葉は見当たらない。それは、むしろひとつの「都市」に近い。地下2階、地上11階、敷地面積約36,000平方メートルにおよぶ<ザ・サークル>。コンペティションで選ばれた山本理顕設計工場のプラン名は、"多様性""都市"という意味をあわせ持つ<ダイヴァーシティDivers(c)ity>だ。「デザインを進める上でも、単なる施設ではなく、都市をつくろうと思いました。スイスの中世都市は、400年以上の時を耐え抜き、今も人々の日常生活の中心になっています。レストランやホテルになったり、ある日そこが高級ブランドショップに変わったりもします。古い構造を残しているからこそ、極めてフレキシブルに変化に対応できるのです。<ザ・サークル>では、こうした中世都市のあり方を新しい技術と工法によって再現しています。斬新なデザインでありながら、訪れる人がどこか懐かしいと思える空間。時間に耐え抜き、都市が自然発生していく空間設計がコンセプトです」

国際コンペティションを勝ち抜いた「サプライズ」、「スイスネス(スイスらしさ)」

エアターミナルに降り立ち、<ザ・サークル>と対峙する時、それは、弧を描くガラス張りのファサードによって一体の巨大建築に見えるだろう。しかしひとたび足を踏み入れれば、視界は一変する。内側には「Gasse」(路地)と「Platz」(広場)からなるシークエンスがあり、折り曲がりながら空間が様々に変化する。断熱が徹底されたガラス面からは、緑豊かなビュツェンビュール丘が見える。そして丘側に出れば、一定のデザインの法則性を持ちながらも、大小にサイズを変えた建築物が連なり、1つの都市を形成しているのが分かる。そこでは、誰もが初めて訪れた土地で迷宮に迷い込んだ旅人の気分を味わえる。訪れるたびにサプライズが待っているのだ。「コンペの審査基準となったのが、『サプライズ』、『国際性』、そして『スイスらしさ』です。スイスと言えば、多くの方が機械式時計を思い浮かべますが、そのイメージの源にあるのは精密なつくりと正確性でしょう。緻密さこそがスイスの特徴なのです。スイスの伝統である金融や保険もそうですし、医療制度をはじめ、行政や国家の運営に至るまで緻密さは貫かれています。言語が5つもありながら、社会が混乱をきたさないのもスイスの人たちの気質を現しています。私たちは<ザ・サークル>においてスイスの緻密さを徹底的に表現したいと考えました。極めて細い柱による建築はスイスネスの象徴です」

エアターミナルから見る正面(左)と空間が様々に変化する内部(右)

"その場所"に学び、 100年先をみつめる設計

広島市西消防署 photo©Tomio Ohashi

山本理顕氏本人による構想段階でのスケッチ

山本氏が国内で手がけた独創的な作品のひとつが、広島市西消防署だ。ショーケースのように、消防署の訓練などを地域の人たちが外から見ることができる。「私は大学では地域社会という考え方を研究しています。そこにあるのは、開かれた建築物によって人が助け合い、協働できる地域社会を再構築するという発想です。とりわけ、公共建築は自己完結的な閉じたものではなく、地域社会に開くことが大切だと思います。関係が外側に広がっていくのですね。その考えは<ザ・サークル>でも活かされています」。日本では公共建築とはあくまで「公」のものだ。しかし、スイスでは「自分たちのもの」として関心が高いという。「建築はその地域に溶け込み、そこで都市を形成していきます。ですから、私は設計にあたって"その場所"に学ぶことを大切にしています。そして、100年先を考え、デザインを進めていきます」。お客様に学び、お客様の100年先を見据え、ポートフォリオを設計する、UBSウェルス・マネジメント。私たちのサービスには、山本氏のデザイン哲学との接点があるのかもしれない。「時に集合住宅の設計も手がけます。しかし、非常に狭い専有スペースに部屋数を多くするなど、ディベロッパーの要望次第ではお断りすることもあります。利益だけを追求しているのか?それとも真に住む人のことを考えているのか?私は住民の側に立って判断したいと思っています。プライベートバンクのサービスも金融商品ありきではなく、顧客のニーズを最優先すると聞いています。それもまた、我々との共通項ではないでしょうか」

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