UBS Perspectives 日本版 2014年 vol.17

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チーフ・インベストメント・オフィス(CIO)の投資テーマ

眠りから覚めた為替市場

CIOの東京オフィスでは、日本の経済・金融・産業動向をグローバルおよびアジア太平洋地域の視点から多角的に分析し、日本および全世界のお客様へ情報を発信しています。日本におけるチーフ・インベストメント・オフィサーの中窪文男による「為替予測」、アナリストの居林通、小林千紗の注目テーマである「日本の観光」をご紹介します。

10月31日に日銀が追加緩和を発表。
さらに、米国中間選挙の結果から米経済への期待感が膨らみ、
円安は加速。11月6日にドル/円は115円を超え、7年ぶりの円安水準となった。

一段の米ドル高・円安へ

図1:主要各国のGDP推移

我々は、米国経済の高い成長が今後も続き、米ドル/円相場は一段のドル高・円安水準に移行するとみている。年初来、米ドル/円相場は、おおむね1ドル=100円~105円のレンジ内で長くもみ合いが続いていたが、9月以降外国為替市場は動き始め、そのレンジを上抜けし、ドル高基調となった。米ドル/円の水準については、今後3ヵ月~12ヵ月は118円と予想(11月6日現在)している。日本経済減速およびインフレ率低下の兆しを受けて、日銀は追加金融緩和に踏み切ったが、その効果はポジティブではあるものの、限定的と見ている。日本経済が2015年10月に予定されている10%への消費税引き上げに対応できるかも不透明であり、政府が日銀に対し金融面からの景気刺激策のさらなる拡大を求めて圧力をかける可能性がある。一方、短期的には110円付近に調整する可能性も排除できない。

さらに進む米国とユーロ圏の金融政策の分岐

図2:各国中央銀行のバランスシート

米国では国内総生産(GDP)成長率が順調に伸びている一方(図1)、景況感調査も底堅く推移している。米国経済は米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和策にポジティブに反応しており、FRBは10月に量的緩和の終了を発表した(図2)。次のステップは利上げの開始だが、我々はその時期が2015年半ばになると予想している。7月のFRBの議事録を読むと、労働市場支援からインフレ率上昇の防止に焦点が移っている。一方、欧州では、欧州中央銀行(ECB)は将来の期待インフレ率が警戒すべき水準に低下することを懸念している。インフレ期待が低下すると、一般的に企業は投資計画を縮小するが、それこそがECBの最大の懸念事項であるデフレの元凶である。投資の縮小と雇用の減少、期待インフレ率の低下という悪循環に陥ることを避けるため、ECBドラギ総裁は追加金融緩和を鮮明に打ち出し、景気対策としてユーロ安誘導も行っている。ユーロ/米ドル・レートについては今後3ヵ月では1.20、6ヵ月~12ヵ月は1.18と予想(11月6日現在)している。

「2020年」に向けた日本の観光展望

アベノミクスの主要戦略の一つ

図3:日本を訪れる外国人旅行者

我々は、安倍晋三首相による企業志向の経済再生政策を背景に、日本の投資は2015年から好循環サイクルに入ると考えている。昨年発表された構造改革に失望した投資家は、アベノミクスの第3の矢(民間投資を喚起する成長戦略)に対してはほとんど期待していなかった。しかし、我々は政府が最近発表した内容は以前よりも前向きだと考えており、中期的なスパンで日本への様々な投資機会を創出するとみている。アベノミクスの主要戦略の一つが観光産業の活性化で、安倍首相は東京オリンピックが開催される2020年までに海外からの旅行者数を2倍にするという目標を掲げている(図3)。それに関連して、政府は2020年までにカジノ事業を開始するべく、カジノ運営の合法化を狙っている。そのため、我々は少なくとも今後2-3年にわたって外国人投資家の関心と投資資金が日本に向かうと期待している。2013年における訪日外国人旅行者数は前年比24%増と1,000万人を超え、年間旅行者数としては史上最多となった。この増加の背景には円安効果に加え、日本政府が多くのアジア諸国に対して観光ビザの発給要件を緩和したことがある。政府による観光産業の支援政策と2020年の東京オリンピックを考慮すると、我々は日本の観光産業がさらに発展し、観光産業だけでなく不動産開発、建設、エンターテイメントの各産業においても長期的な投資機会が訪れると考える。

カジノが合法化された場合のインパクト

図4:カジノ開業に向けたスケジュール

政府は2014年1月にカジノ法案を国会に提出し、法案は6月に審議に入った。全ての法整備が完了して初めて、政府はカジノ事業の免許を交 付し、運営が開始される。我々の予測では施 設の建 設は2016-2017年ごろ始まり、運営開始は2020年と見ている。現時点でカジノ産業による経済的な影響を予測するのは難しい。さらに、カジノの合法化法案が通過しないという可能性も残る。しかし、我々は3つの理由から日本でのカジノ運営は実現すると楽観視している。一つは、カジノ計画の青写真は単にゲーム事業にとどまらず、アジア各国で採用された「統合リゾート(IR、カジノに加え、国際会議場、ホテル、商業施設等が一体となった複合観光施設)」の概念を採り入れているためである。日本において、こうしたリゾートは日本ならではのおもてなし、エンターテイメント、文化や最新技術を紹介する施設を含むものになるだろう。二つ目は、カジノ産業が地元経済への貢献が期待されている点で、地方経済の活性化のためにカジノ運営に対して熱心な自治体もあるためだ。三つ目は、政府が2030年までに外国人旅行者数を年間3,000万人に増やすことを計画している点にある。すなわち、2020年以降も、日本に外国人旅行者を持続的に誘い込むアトラクションが必要であり、カジノはそれに当てはまるだろう。

本稿は、Chief Investment Office WM によるレポートを翻訳・編集したものです。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。

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