UBS Perspectives 日本版 2014年 vol.16

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「ミステリアスで美しいワインの世界へようこそ」

ソムリエ世界チャンピオン パオロ・バッソ氏 インタビュー

レマン湖の東端に流れ込む、ローヌ川の谷間に位置するヴァレー州。
マッターホルンなどの名峰を有する南西部の州で気候も土壌もワイン造りに適し、ワイン生産量はスイスで第1位。

世界中からトップクラスのソムリエが集結し、味覚や嗅覚、知識やサービスを競う世界最高峰のワインイベント「A.S.I世界最優秀ソムリエコンクール」。
昨年3月、18年ぶりに日本で開催された同大会で見事優勝に輝いたスイス代表のパオロ・バッソ氏に、奥深いワインの魅力について聞きました。

パオロ・バッソ氏

スイス出身。
ヴィンテージやレアなワインに造詣が深く、数々のトップレストランでのソムリエ経験を経て2010年にはヨーロッパソムリエチャンピオンに輝く。
現在はワインコンサルタントや様々なワイン評価委員会の委員として活動を行う傍ら、スイス南部、ティチーノ州・ヴァカーロのレストラン「コンカ・ベッラ」でワインディレクターとしてワインの仕入れやリスト作成に携わっている。
2013年3月29日、18年ぶりに日本で開催された世界最高峰のワインイベント「第14回A.S.I世界最優秀ソムリエコンクール」で優勝した。

惜敗から学んだ「マインドセット」の大切さ

ソムリエにも、オリンピックがある。3年に一度開催され、世界中のソムリエたちがトップの座をめぐって競い合う「世界最優秀ソムリエコンクール」がそれだ。2013年3月29日、18年ぶりに東京で開催された第14回大会には、世界約50ヵ国から53名の競技者が参加し、熱戦を繰り広げた。その栄冠に輝いたのが、スイス出身のパオロ・バッソ氏だ。2010年ヨーロッパ・ソムリエチャンピオンの経歴を持つバッソ氏は、前回の第13回大会でファイナリストに残りながら惜しくも優勝を逃しており、今回見事その雪辱を果たして世界一の称号を獲得した。「ヨーロッパのソムリエチャンピオンというのは、実質的に世界一のレベルにあります。私にもその自負がありましたが、約5,000人の観客を前に技を競うプレッシャーは並大抵のものではありません。優勝者発表で田崎真也A.S.I会長によって私の名前が読み上げられた時の感動と興奮は、一生忘れないでしょう。間違いなくキャリアの中で最高の瞬間でした。」前大会の苦い経験から、バッソ氏はある教訓を得ていたという。「本番で高いパフォーマンスを発揮するには、マインドセットが大切だということです。以前の私は、とにかくベストを尽くせば良いと考えていましたが、まずその考えを改めました。プレッシャーの中では普段の80%のパフォーマンスしか出せません。しかし、120%の準備をしておけば、本番で100%のパフォーマンスが発揮できるはずです。ここまで来るのに非常に長い道のりでしたが、ようやくその苦労が報われました」

ワインのトレンドは「バランスの良いライトボディ」に回帰

ひたむきに努力を続け、世界最優秀ソムリエの座を手にしたバッソ氏は、ワインとの出会いを次のように振り返る。「もともと人体をつくる源である“食”に関心があった私は、ホテル学校に通って勉強を始めました。そこでワインに出会ったのです。なんと奥が深くミステリアスで美しい飲み物なのか、とすぐに心を奪われました。もっとワインのことを知りたいと強く思い、ソムリエの道を歩むことを決意しました。ソムリエという仕事は、単にワインを利き分けるだけでなく、世界中のワインに精通し、お客様の好みや嗜好に合った最良の一本を見極めなければなりません。そのため、色々なワインや生産者を訪ねて世界各国を回りながら貪欲に知識を吸収していきました。」そう語るバッソ氏は、数々のトップレストランでのソムリエ経験を持ち、ヴィンテージやレアなワインにも造詣が深い。現在はソムリエ以外にも、ワインコンサルタントやワインディレクター、ワイン評価委員会の委員を務めるなど、コンクールの優勝後も各地で精力的に活動を続けている。では、ソムリエ世界チャンピオンから見た現在のワイントレンドとは?「数年前は色やタンニンが濃く、ボディのしっかりしたワインが主流でしたが、実は料理との組み合わせが難しいという側面もありました。近年は、軽めでバランスの取れたライトボディが人気です。料理と合わせて気軽にワインを楽しむ人が増えてきましたので、合わせやすいワインが好まれるようになってきています。なお、私が今注目しているワイン産地はスイスです。スイスは小国でありながら気候や土壌が多様性に富んでおり、ワイン造りに適した自然条件に恵まれていることから良質なワインが造られています。スイスを代表するシャスラ種による白ワイン、果実味豊かな赤ワインに加え、素晴らしい甘口やスパークリングなど、生産されている種類も豊富です。また、スイスのワイン造りというのはとても緻密。スイス人のものづくりへのこだわりが、葡萄栽培や醸造技術にも表れているのです。スイスと言えば時計が有名ですが、ワインもまた“スイスの代名詞”と呼べるくらい、もっと多くの人にその奥深さや魅力を知ってほしいですね」

スイスワインと日本料理の“口福”なマリアージュ

スイスでは「シャスラ」や「ピノ・ノワール(右)」をはじめ、多様な葡萄が栽培され、上質なワインが生産されているが、多くが自国内で消費され、輸出量は全体のわずか1%ほど。「製造が難しいとされる伝統的な製法によるスパークリングの生産量も、近年増えています。ぜひ飲んでみてほしい」とバッソ氏。

2014年、バッソ氏の故郷であるスイスと日本は、国交樹立から150周年を迎えている。産業、経済、科学などさまざまな分野で連携を深め、友好関係を築いてきた両国には、多くの共通項があるとバッソ氏は指摘する。「例えば、仕事に対する勤勉性や、ものづくり・サービスへのこだわりや質の高さなどは、両国に共通する国民性と言えるでしょう。また、美しいアルプスの山々に囲まれたスイスは、チーズなど山の幸に富んでおり、春夏秋冬の四季に恵まれた日本もまた山海の幸が豊富です。スイスワインと日本料理は、とても相性が良いのをご存じでしょうか?私自身も寿司や刺身などを好んでよく食べますが、日本料理は味付けの幅が広く、ひとつのお皿の中に甘味、塩、しょうゆ味など実に様々な味付けがされているので、1本のワインで合わせるのは難しいのですが、他の料理と比べて油が少ないため、アルコール度数の強いワインや酸の強いワインよりも、スイスワインのような繊細なものであれば合うと思います。種類の豊富なスイスワインと組み合わせながら、お気に入りのマリアージュを見つけて楽しんでいただきたいですね。我々ソムリエのワインテイスティングは“楽しむ”というより“訓練”に近い側面があります。極めるためにはたくさんのワインを試飲し、スポーツのようにトレーニングを積まなければなりません。しかしそれはソムリエに任せて、皆さんはまずは難しいことを考えずにとにかくワインを楽しんでいただき、この記念すべき年にぜひスイスワインをお試しください」

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