UBS Perspectives 日本版 2014年 vol.15

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日本株式の展望

アベノミクスで注目続く輸出・設備投資関連

2012年12月の政権発足後、「アベノミクス」と呼ばれる安倍晋三首相の経済改革は株式市場で好感されてきた。「3本の矢」政策は14兆円以上もの海外投資を日本に引き入れ、9,000円以下だった日経平均株価は2013年12月末に1万6,000円を突破した。アベノミクスの最優先課題は、円安と大胆な財政出動により20年にわたるデフレから日本を脱出させることである。この2つの政策は今のところうまく機能している。しかし、アベノミクスで最も重要かつ難しい「新成長戦略」はまだ始まったばかりだ。2013年通年での日本経済の回復は、2014年4月に消費税が増税される前の駆け込み需要を背景とした個人消費の拡大が主な支えだった。2014年の早い時期にこの需要がなくなれば、個人消費はもはや国内経済のけん引役とはなりえない。アベノミクスは2015年にかけてその真価を問われることになる。

円安の恩恵を受ける日本の輸出企業

日銀短観によれば、円安効果で2013年度の大企業輸出売上高は11%増と2ケタ増が見込まれる。一方で輸入については エネルギー関連に加え、内需好調により輸入数量が増加し、貿易収支は17カ月連続(2013年11月時点)の赤字となった。

我々は、日銀の金融緩和政策と安倍首相の大胆な経済改革は市場からの信頼を維持できると考え、日本の輸出企業に対する強気の見方を継続する。日米金利差の拡大も我々の円安見通しを支えるはずだ。2013年の円安進行により、輸出企業への全般的な追い風は一段落したと考えられる。しかし世界を見わたせば、米国経済が依然堅調を保ち、欧州経済には景気回復の初期兆候が見られ、今後中国経済も再び加速しそうだ。我々は世界経済の全般的な成長加速と円安進行をうまく活用できる輸出企業を選別的に選好していく。2013年3月下旬以降、ドル円相場は日米両国の中央銀行の施策を背景に1ドル=95-104円のレンジで推移してきた。2014年の動きであるが、2014年1月に米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和政策の段階的縮小を開始する方針を示し、また、4-6月には日銀がさらなる量的緩和政策に乗 り出す見込みだ。こうした背景からさらなる円安の進行が予想される。円安に加え、過去数年間に及ぶ経費削減努力と業務縮小策が奏功し、輸出企業各社の業績は急速に回復していると見られる。2014年3月期、内需関連企業の増益率が40%にとどまる一方で、輸出企業の増益率は75%を超える見込みだ。内需関連企業より高い利益成長を見込めるにもかかわらず、日本の輸出企業はPERで見たバリュエーションが依然として低い。我々が選好している輸出企業の大半が割安水準にあると思われる(図1)。一部銘柄は昨今の急騰を受け、好材料がおおむね株価に織り込まれたと判断し、選好リストから除外したが、今後ともボトムアップ・アプローチに注力し、選好企業を定期的に更新していく。

アベノミクス第3の矢:設備投資復活への道

現下の景気回復を持続するために、安倍政権は、民間および公共投資増大に向けて決断力を持って「第3の矢」を放つ必要がある(図2)。政府が取り組む「新成長戦略」には規制緩和と民間企業の事業推進に関する政策案が100以上も含まれている。この事実から、優遇措置を講じ、企業投資の復活と特定産業の発展促進を実現させたいとの政府の意図がうかがえる。いくつかの業界では投資を促すために政府が新たな制約や規制を課そうとしているが、医薬品や介護サービスなど、伝統的に制限が厳しかった業界は規制緩和の方向で進んでいる。残念ながら、最近の安倍政権の成長戦略の進捗は我々や海外投資家の期待よりもスピードが遅い。我々は設備投資の増加を予測しているが、この見方は政府の経済政策にのみ頼ったものではない。むしろ政府の対策はきっかけに過ぎず、以下のような構造的理由から、日本企業が設備投資を内外で増やしていくと考えられる。

1.既存設備の老朽化

政府統計によれば、日本の製造企業が所有する製造装置は導入から平均で16年近く経っており、米国、ドイツに比べ3-4年使用年数が長い。日本の製造業による国内設備への投資は長年にわたって不足してきた。我々は税制優遇措置や助成金、減価償却率の引き上げが新設備への投資を促すと見ている。

2.手元現金水準の高さ

現在、日本企業は歴史的に高い水準の現金を手元に保有しており、負債資本比率も歴史的に低い水準になっている。企業のバランスシートと利益率が近年、劇的に改善していることから、近い将来に設備投資ムードが高まるであろう(図3)。

3.新規制

政府は建物の耐震性やエネルギー効率に関して、定められた条件に満たない企業に罰金を科すなどの厳しい規制条件の導入を検討している。この動きも企業の新たな資本資産への投資を後押しするだろう。

4.労働人口の減少

高齢化が進み、向こう5-7年の間にベビーブーマー世代の定年が近づく中、日本は今後5年間で6.3%の労働人口を失うことになる。円安により、生産を海外から日本に移す企業も出てくるが、国内で確保できる労働者が少なくなる将来に向けて、高度な生産技術に対するニーズが高まるであろう。

日本企業には既存の自社ビルや工場、IT設備や製造設備・施設、減価償却が進んだその他の資産を最新化する十分な理由があり、そのうえ資金力も備えている。2020年の東京オリンピック開催が決まったこともプラスに働くであろう。

本稿は、CIO WM Researchによるレポートを翻訳・編集したものです。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。

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