UBS Perspectives 日本版 2014年 vol.15

バックナンバーはこちら

最新号はこちら

ご注意事項

世界経済は成長加速へ

投資家にとってポジティブな環境に

2008年以降、長期にわたり市場をけん引してきたトレンドは負債圧縮と主要国の国債利回りの低下だった。しかし今、そのムードは大きく変わりつつある。2014年は、世界経済の全般的な成長加速に特徴づけられる1年になりそうだ。当面は先進国の負債圧縮の流れからの転換と、新興国の収れん*が世界経済のトレンドを形成するだろう。高い経済成長率と中央銀行の緩和姿勢という環境は、リスクを追求する投資家にとってポジティブに作用すると考えられる。我々は、株式および債券(主に先進国社債および新興国債券)を選好し、十分に分散されたポートフォリオ構築を勧める。

*用語解説:収れん(コンバージェンス)
新興国への投資活動が活発化することで、経済発展の差が縮小していく現象。
新興国の成長率が先進国の水準に近づき、また、新興国と先進国の国債格付けの差が縮小する。

経済:2011年以来最も高いペースで拡大へ

2014年、世界の実質国内総生産(GDP)成長率はどうなるのかーUBSウェルス・マネジメント・リサーチは、米国およびユーロ圏における緊縮財政の影響が弱まることから、2011年以降で最も高い3.4%になると予測している(図1)。まず米国では、2014年に民間セクターの 負債圧縮がほぼ終了し、個人および企業のさらなる支出および設備投資の拡大が期待できる。我々は米国経済について3.0%成長(2013年は1.9%)を予想しているが、これは先進国の中で最も高い成長ペースだ。一方、ユーロ圏は堅調なドイツ経済を中心に世界経済の改善の恩恵を受け、2014年は緩やかな経済成長(+1.1%予想)となり、2013年の景気後退(-0.4%)からの改善が見られそうだ。日本ではおよそ20年に及ぶ経済停滞に終止符を打つために、政府が引き続き、積極的に強力な金融・財政刺激策および構造改革に取り組んでいくだろう。なお、3年間足踏み状態が続いた新興国経済は、先進国の成長加速に伴う輸出増に支えられ、2014年には再び緩やかに上昇する見込みだ。実質GDP成長率も2013年の4.5%から2014年には5%に拡大すると見られるが、ブラジル、ロシア、インド、中国などの主要新興国では先進国への収れんが進展し、これまで見慣れてきた年間成長率よりも低い水準が予想される。

株式:さらなる積み上げを

2013年、株価は世界的に堅調だったが、新しい1年も世界経済と企業収益の成長を背景にこの動きが続くだろう。株価上昇で簡単に利益を得られると考えるべきではないが、株式という資産クラスは依然として、長期のポートフォリオに資産配分すべき上昇余地を備えている。過去5年間、グローバル株式の年率リターンは15%にのぼったが、今後5-7年においては7-8%のレンジでの推移が予測される。世界の景気サイクルが好転していく局面で、我々は米国およびユーロ圏の株式を選好する。米国は景気回復のモメンタムを維持しており、株式市場のファンダメンタルズが安定している(図2)。また、緩やかなEU経済の回復は企業収益の上昇につながり、ディフェンシブ・セクターの比重が高いユーロ圏株式市場のパフォーマンス改善が期待される。一方、新興国株式は経済・政治状況や金融情勢に大きく左右されるが、輸出が経済成長を促進するという期待から、我々は2014年に新興国企業の収益がおよそ10%伸長すると見ている。この動きは新興国の株式指数を幅広く押し上げるだろう。

トレンドの大きな転換を迎える2014年。グローバルマーケットはどう動くのか?

通貨:主要通貨が回復へ

安倍政権発足から1年。アベノミクスへの期待含みで円安は進み、対円でユーロは22%程度、スイス・フラン、英ポンドも約20%、米ドルも18%程度上昇した(2013年12月4日時点)。

極端な金融緩和政策により、ここ数年、米ドル、ユーロ、英ポンドなどの主要通貨は下落してきたが、今後は下落した分を取り戻す可能性が十分にあると予想する(図3)。主要通貨のパフォーマンスは、軟調に推移している新興国通貨に加え、資源国通貨のパフォーマンスさえも上回る可能性がある。外国為替市場では、主要通貨を後押しする金融引き締め策実施の可能性が警戒され始めるだろう。戦略的(長期的)投資家は、広範囲にわたる外貨のポジションをヘッジすることを勧める。主要通貨に対する需要が安定的に増加していく一方、高利回り通貨(豪ドルやニュージーランド・ドル等)やスウェーデン・クローナ、ノルウェー・クローネ、また高水準の財政赤字を抱える脆弱な5大新興国通貨(南アフリカ・ランド、トルコ・リラ、ブラジル・レアル、インド・ルピー、インドネシア・ルピア)は下落し始めるだろう。これらの通貨は2011年から2012年にかけて、米連邦準備理事会(FRB)による量的緩和第3弾と先進国の超低利環境を引き金としたドル安の恩恵を受けていた。世界経済の改善が見込まれる中、我々は豪ドルのような割高な資源国通貨に比べて、主要通貨のトータルリターンが上回るだろうと見ている。

先進国社債および新興国債券(国債、社債):良好なパフォーマンスを見込む

先進国社債と新興国国債および社債のパフォーマンスは今後数年間、先進国国債と高格付債を上回る見込みだ。まず米国企業の見通しであるが、米国は他の先進国の多くと比べ、負債の圧縮が進んでおり、信用力が向上している。支払利息に対する事業利益の比率も高く、当面低金利での資金調達が続くだろう。米国企業はこの有利な環境を利用し、残存債券の相当部分を低金利で借り換えている。さらに、米国では金融危機以降の規制強化により、銀行が自己資本や流動性準備の増額を義務づけられたため、金融セクターのファンダメンタルズも良好な状況が続いている。一方、ユーロ圏は2013年第2四半期に景気後退からようやく脱出したばかりだ。米国と異なり、欧州の事業会社はなお負債水準を減らす努力を続け、この1年でおよそ1%減少した。しかし、収益はここに来て安定化の兆しが見え始めたばかりであり、再び成長に向かうのは2014年以降になるだろう。また、新興国のマクロ経済状況だが、ここ数十年間で徐々に先進国に収れんし、新興国企業と先進国企業の信用度の格差に変化が生じている。たとえば、2000年当時、米国企業の信用格付けは新興国企業よりも平均して4段階高かった。しかしそれ以降、米国企業の信用格付けが緩やかに下落した一方で、新興国の格付けは力強く改善し、両者の格差は縮小している(図4)。

米ハイイールド社債:低いデフォルト率から恩恵

米ハイイールド社債は、デフォルト(債務不履行)率の低さに引き続き恩恵を受ける見込みだ。世界経済の成長加速、低金利の環境、そして資金調達に対する懸念の少なさはハイイールド社債にとって好ましく、スプレッド(国債との利回り格差)のさらなる縮小を支える。デフォルト率は2014年にかけて、長期間の平均値4%をはるかに下回る2%以下の水準にとどまるだろう(図5)。このボラティリティの低い状態が年間を通じて継続し、4%から6%のトータルリターンが得られるとの予想に基づき、我々は米ハイイールド社債への投資を勧める。ここ数年、資金調達の環境が良く、米ハイイールド社債の発行体は1兆米ドルを超える債券を発行しており、そのうちの57%は既存の社債の借り換えに資金を充てている。この借り換え作業は金利負担を下げるとともに、満期までの期間が短い債券を減らし、今後数年間、企業のバランスシートを強化するであろう。FRBによるゼロ金利政策の継続により、企業が発行市場において資金を調達しやすい状況も維持される見込みだ。なお我々は、2014年に景気回復が進むにつれて長期金利は徐々に上昇すると見ている。ハイイールド社債の発行市場は、金利上昇時でも堅調に推移すると過去の歴史は物語っている。経済成長の改善はデフォルト・リスクを低減し、その結果として起こったスプレッドの縮小が大抵の場合、緩やかな金利上昇のマイナスの影響を相殺している。

本稿は、CIO WM Researchによるレポートを翻訳・編集したものです。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。

資産運用のご相談、お問い合わせは、UBSウェルス・マネジメントへ

電話でのお問い合わせ
フリーダイヤル:0120-073-533(東京) 0120-520-887(大阪) 0120-667-581(名古屋)
UBSウェルス・マネジメントのオフィス所在地
お問い合わせページ

ページの先頭へ