UBS Perspectives 日本版 2012年 夏号 vol.11

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世界の社会的問題の解決を目指し、広がるソーシャルビジネスの可能性

UBS 150周年記念 ムハマド・ユヌス博士特別講演 「社会貢献のあり方 ソーシャルビジネス」

バングラデシュではグラミン銀行から830万人が借入をし、利用者の97%が女性だ。
融資は無担保でありながら貸倒率は2%と極めて低い。

貧困層にマイクロクレジット(無担保の少額融資)を提供するグラミン銀行を設立し、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス博士。現在では銀行にとどまらず、貧困、教育、技術、環境といった問題を多角的に解決するために、世界中の企業や個人と一体となってさまざまなソーシャルビジネスを展開している。ユヌス博士を招いて、昨年11月1日に大阪で開催された特別講演の内容をご紹介します。

ムハマド・ユヌス博士

1940年、バングラデシュ・チッタゴン生まれ。
米国で経済学の博士号を取得した後、母国チッタゴン大学経済学部の学部長に就任。74年の大飢饉がきっかけで貧しい人の救済運動を始め、83年にグラミン銀行設立。マイクロクレジット(無担保少額融資)で農村部の貧しい人々の自立を支援する手法を展開。2006年にノーベル平和賞を受賞。

ムハマド・ユヌス博士が提唱するソーシャルビジネスの7原則

1.グラミン・ソーシャル・ビジネスの目的は、利益の最大化ではなく、人々や社会を脅かす貧困、教育、健康、技術、環境といった問題を解決することです。
2.財務的、経済的な持続可能性を実現します。
3.投資家は、投資額を回収します。しかし、それを上回る配当は還元されません。
4.投資の元本の回収以降に生じた利益は、グラミン・ソーシャル・ビジネスの普及とより良い実施のために使われます。
5.環境へ配慮します。
6.雇用者は良い労働条件で給料を得ることができます。
7.楽しみながら。

母国の貧困層を救いたいーその想いが原動力に

社会的課題を"ビジネスの手法"を用いて解決する「ソーシャルビジネス」というキーワードがさかんに聞かれるようになっている。その提唱者がムハマド・ユヌス氏だ。バングラデシュで生まれ、アメリカで経済学の博士号を取得したユヌス氏。1972年、32歳の時に帰国し、母校チッタゴン大学の教授となった彼の視界に映ったのは、貧困にあえぐ自国民の惨状だった。「当時のバングラデシュは飢餓に瀕し、多くの人々が貧困に苦しんでいました。その結果、高利貸しからお金を借りて労働を強いられるなど、人生を束縛されていたのです。大学の隣村の人々を助けたい、と思ったのがすべての始まりでした」。ユヌス氏は返済期限を決めずにポケットマネーを貸し、さらにバングラデシュ中を8カ月走り回り、困っている人々に融資してくれる銀行を探した。「どの銀行にも断られ、その間、自分のお金を貸し続けました。そしてようやく、借りた人が返済できない場合は私が払うという条件で融資を取り付けたのです」。保証を差し出すという最悪の事態も想定していたユヌス氏。しかし驚くことに多くの保証を引き受けながら、一度も貸し倒れはなかった。人はきっかけがあれば自立できる。そして、きっかけはわずかなお金でいい。「この経験から、私は大学の職を辞して貧しい人々に小口の融資を行うグラミン銀行をつくったのです」。グラミンとはバングラデシュの言葉で"村落"の意味だ。

「問題解決のための取り組み」に自己持続性を持たせる

グラミン銀行の融資のスタイルは、マイクロクレジットと呼ばれる無担保の少額融資だ。きわめて小さい"ビジネス"を興すために必要な数十ドルほどの資金を貸し付ける。借り手の大半は女性たちだが、彼女らは各々の資金を元手に、竹細工や陶器づくり、商売などさまざまな事業に乗り出す。その結果、生活のレベルは上がり、借り手は平均6年で貧困レベルを脱出しているという。ユヌス氏は、貧困層にただお金を与えるのではなく、彼らが経済的に自立できるきっかけをつくったのだ。「マイクロクレジットを通じて、私はソーシャルビジネスの可能性に気付きました。出資する立場から見れば、慈善事業に寄付を行っても、一度消費されてしまえばそれきりです。もちろんお金も戻ってきません。しかしビジネスが生き残り、成長すれば、出資者は投資したお金を回収できます。そして、その資本や利益を、また別の社会問題の解決に投資できるのです」。ソーシャルビジネスが寄付などの慈善活動と異なる点は、"問題解決のための取り組み"に自己持続性を持たせている点にある。実際に、ユヌス氏はグラミン銀行での利益を元に、バングラデシュで問題となっていた白内障の手術を行う眼科病院を設立した。「この病院は年間120万米ドルの経費が必要です。慈善事業として運営すれば、毎年寄付のお金が必要となります。手術の費用はわずか32ドルですが、それでも収益を生み、初期投資は5年間で回収できました。さらに、その利益で新たな病院づくりを行ったのです」

日本の企業や個人にも広がるソーシャルビジネス

ユヌス氏は、グラミン銀行の子会社や他の企業・個人との合弁会社により構成されるグラミン・ファミリーでソーシャルビジネスをグローバルに展開している。「ファーストリテイリングとの合弁事業では綿のTシャツや毛布、女性用生理用品など、バングラデシュの貧困層が最も必要としている物資の生産から販売までを完結する仕組みを構築しました。雪国まいたけとは合弁会社をつくり、もやしの原料である緑豆の栽培をバングラデシュで行っています。栽培や選別作業を現地の農民に委託し、雇用を創出しています。生じた利益はすべて貧困層の福祉や奨学金などに活用されています。また、バングラデシュの若者が手に職を持てるよう自動車整備学校の設立も進行中です。新たなビジネスの創出は貧困からの脱却、人々の自立を促すのです」。社会貢献活動に対して関心をお持ちのUBSのお客様に対し、ユヌス氏はこんなメッセージで特別講演を締めくくった。「日本を含む多くの国でソーシャルビジネスの芽が生まれています。UBSのお客様には、こうしたビジネスに積極的に力を貸していただきたいと思います。貧困問題や障害者支援、環境保護などのさまざまな社会的課題を解決するためには、もっと多くのアイデアが必要です。最近の若い世代はソーシャルビジネスに関心を持っています。若者たちは時にとてつもないアイデアを生み出しますが、ぜひご子息や周囲の若い世代と新しいビジネスの方法を議論して欲しいですね」

UBSオプティマス財団

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