UBS Perspectives 日本版 2012年 夏号 vol.11

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2013年の見通し

「利回り追求」の時代が続く

昨年、最も活躍が目立ったのは、異例の手法を次々と繰り出し、金融危機の収拾と経済の成長支援を図った各国の中央銀行だった。結果として、米10年国債利回りは1790年の記録開始以来の最低水準まで低下した。2013年は、「利回り追求」がこれまで以上に厳しくなる可能性が高い。我々の基本シナリオは、世界経済はゆっくりではあるものの成長を続けると想定しており、2013年の成長率は2012年の約2.5%からやや伸び、3.0%程度になると見ている。金融市場は今後も断続的に危機に見舞われ、市場の変動も拡大することになるだろう。しかしながら投資家は謙虚な姿勢を保ちつつ、地域、通貨、そして資産クラスの全般にわたり幅広い分散を図って投資を行うことが肝要だ。

社債:ポートフォリオの基本に

社債は、今後数年間で最も有望な資産クラスの一つに位置付けられる。利回りが魅力的なことに加え、企業の財務体質が概ね健全で資金調達の機会も十分にあり、債務不履行(デフォルト)率も低水準が続きそうだ。したがって我々は、今後顧客のポートフォリオにおける社債の役割が従来よりも大きくなると見ている。投資家は、社債が2012年並みの傑出したパフォーマンスを維持できるのかについて疑問を抱くかもしれない。2013年も低格付けのハイイールド社債のパフォーマンスが株式市場を上回れば、ハイイールド社債のアウトパフォーマンスは5年連続となる。しかもハイイールド社債には、株式の投資家が経験したような大幅な変動がなかった。しかし我々の分析では、こうした状況は2013年以降も続く可能性が高い(図1)。金融危機の勃発に対し、世界の主要国の中央銀行は、歴史的な低金利で対抗し、債券の市場環境は根底から地殻変動を起こす結果となった。従来、インフレの目減り分を補いたいだけの投資家は国債にその任を負わせることができた。実際、1981年から2007年後半までの間、米国の10年国債利回りは、国内のインフレ率を常に上回っていた(ただし2005年の1カ月を除く)。ところが現在は状況が異なる。実質ベースでプラスのリターンを得るには、投資家は債券に代わる投資対象を探さなければならないのだ。我々はこの「利回り追求」の動きが2013年も続くと見ている。

新興国債券:ファンダメンタルズが支えに

現在の新興国債券は、構造的に極めて健全であるため、今後も魅力的なリターンが維持され、リスクも低下する可能性が高い。20年前、米ドル建て新興国ソブリン債の格付けの平均は「B+」だった。当時、これらの発行体は財政基盤が十分に確保されず、支払義務を履行する可能性も低かったのである。現在、新興国のソブリン債の格付け平均は「BBB-」となり、格付け機関各社からも適切な財政基盤を持ち、かつ長期リスクが少ない発行体と評価されるようになった(図2)。新興国のソブリン発行体はもちろんのこと、民間企業の信用度がここまで改善したのは、そのマクロ経済全体が安定度を高め、慎重な財政政策が取られるようになったからだ。今日、多くの新興国の債務残高は先進国よりはるかに低く、財政赤字比率も概ね低い。多くの新興国は経済成長率が高く、しかも安定している。税収と企業利益が増大すれば債務の元利支払が容易になるため、複数の発行体では長期債務の持続可能性がさらに高まっている。また、近年莫大な外貨準備高を積み上げている新興国も多く、こうした国々は不景気の間も景気を支えるためのセーフティーネットやさまざまな手段を提供できる。したがって、新興国の信用力のファンダメンタルズは今後、数年にわたり改善が続き、その結果、新興国債券のリスクプレミアムは縮小するだろう。我々はこのプロセスを通じて、債券投資家に魅力的なリターン獲得機会が生み出されると考えている。

政治的な破たんを回避し、世界経済は成長を続けられるのか?

株式:さらに魅力的に

2009年の底値から大きく回復したとはいえ、株式相場には「株式の長期投資は破たんした」とする強い主張も散見され、株式という資産クラスに対して多くの投資家が恐怖感をぬぐえないままでいる。しかし、我々はこうした主張には同意しない。投資家が依然として株式に慎重な姿勢を保つ状況は、むしろ長期的な株式投資のチャンスに結びつくと考えている。高水準にあるリスクプレミアムは、株式の長期(複数年)保有を考える投資家が報われる可能性が高いことを示唆しているのだ。一方、短期の戦術的な観点からは、2013年における株式のパフォーマンスは再び政策決定に左右される。米国では、年初に懸念が引き続き台頭してくるものの、政治家は最終的に「財政の崖」による景気後退を回避するであろう。欧州では、2012年に決定されたECB(欧州中央銀行)の債券買い入れプログラム(OMT)と欧州安定化機構(ESM)の導入が我々の期待通り、景気の底打ちにつながるかどうか、投資家は見極めるべきだ。一方、中国では新しい国家指導部が、直面する経済の構造的な難題を解決できるか不透明な状況が続くと見られる。我々の基本シナリオでは、大きな政治的な破たんは避けられ、世界経済は成長を続ける。こうした環境下で、世界の株式は一桁後半から十数%の名目リターンを上げることができるはずだ。リスク/リターンの対比で見ると、我々は米国の株式市場が特に魅力的であると考えている(図3)。また、世界経済と主要な新興国経済、特に中国経済が底打ちしつつあるというさらなる証左が出ることで、新興市場の株式は信頼を増すと見ている。

為替:微妙な均衡

国際投資家にとって、通貨エクスポージャーの管理とは「自国通貨を主に保有しながら、強い通貨へのある程度の分散を追求する」という微妙な均衡を保つことに他ならない。今後数年にわたり、主要先進国は自国通貨をいかに安くするかの闘いを続けるはずだ。したがって我々は成長国とコモディティ関連国の通貨を選択せざるを得ないだろう。 緊縮財政が続く限り、先進国経済は低成長を続け、各国の中央銀行は今後数年間にわたって金融緩和政策を取るしかない状況に置かれている。特に、G3諸国(米国、欧州、日本)の政府は債務問題と財政再建に懸命の努力を続けているところだ。その中央銀行が選択できる政策を考えれば、3大通貨(米ドル、ユーロ、日本円)には持続的な上昇の根拠が欠けている。我々は、2013年に入っても昨年同様、成長国とコモディティ関連国の通貨を選好し、コアの資産配分においてオーストラリア・ドル(AUD)とカナダ・ドル(CAD)、ノルウェー・クローネ(NOK)とスウェーデン・クローナ(SEK)、さらに英ポンド(GBP)にシフトすることを選好する。我々は新興国通貨への配分増加を選好しているが(図4)、投資環境が整っていることを条件に上記通貨への配分も選好する。これらの通貨は、いずれもペースは遅くとも、引き続き、着実に成長を続ける環境に支えられている。2013年には、とりわけカナダ・ドルと英ポンドを選好する。一方、オーストラリア・ドルとスカンジナビア諸国(デンマーク、スウェーデン、ノルウェー)の通貨は割高になっており、押し目で追加すべきと判断する。

上場不動産:魅力は継続

上場不動産は、配当利回りが高く調達コストが低いため、今後数年間は魅力的な資産としてポートフォリオの一角を占めるだろう。なかでも、我々は上場不動産投資信託(REIT)を選好する(図5)。この商品は保守的に運用され、課税所得の90%を払い出すという明確な構造を持っている。投資家が魅力的な利回りを追求する環境の中で、REITは社債の優れた代替商品の一つと言えよう。グローバルREITはここ数年良好なパフォーマンスを上げているが、市場での配当性向がかつてないほど低水準にあることを背景に、4%を超える魅力的な配当利回りで極めて適正な価格水準を維持している。過去平均を下回る経済成長の期間中もこの商品は好調な成果を上げてきた。米連邦準備理事会(FRB)が今後数年は低金利を確約しているため、グローバルREITは史上最低水準のコストで負債の借り換えができ、そのデュレーションを長くできる。ここ数年は新たな賃貸物件の供給が抑えられてきたため、世界的に供給が逼迫し、賃料と不動産価値も下支えされている。我々の分析では、現在のような投資環境においてはREITは株式よりも有利である。

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