UBS Perspectives 日本版 2012年 夏号 vol.11

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ロンドンで花を咲かせたもう一人のゴールドメダリスト

ロンドン五輪の今年、名だたるアスリートよりも一足早く、英国で「ゴールドメダル」を手にした日本人がいる。英国王室も関係する権威あるガーデンショー、チェルシーフラワーショー(Chelsea Flower Show)の頂点を制したランドスケープアーティスト、石原和幸氏だ。

石原和幸(いしはら かずゆき)

庭園デザイナー。1958年長崎県生まれ。英国の国際ガーデニングショー「チェルシーフラワーショー」で史上初の3年連続金メダルを受賞。
日本全国で壁面緑化事業を手がけるなど、緑の力で世界に貢献する活動にも力を注ぐ。石原和幸デザイン研究所「風花」 http://www.kaza-hana.jp/

日本の里山を再現した、小さなガーデン

2012年チェルシーフラワーショー
金賞とベストガーデンのダブル受賞作品「里山のくらし」

「世界中の人々が『懐かしい』と言ってくれました」。今年5月、英国チェルシーフラワーショーで金賞とベストガーデン賞(部門第一位)を受賞した作品「里山のくらし」について石原氏はこう語る。チェルシーフラワーショーは英国政府と王立園芸協会が主催し、ロンドンにあるチェルシー王立病院の敷地内で毎年開催されている国際ガーデニング展だ。エリザベス女王即位60周年のジュビリーイヤーに、ガーデニングの本場・英国で日本人アーティストが快挙を成し遂げたのである。「私が育った長崎の田舎は棚田の間に小川が流れ、家の庭先には井戸と季節ごとの食材がとれる小さな畑がありました。つつましい生活ですが、町がひとつの家族のようだった里山。その世界観を再現したかったのです」。幅7m、奥行き5mの空間に川石を積み、もみじを植えて、日本の原点のような庭をつくった石原氏。「他にピラミッドを模した作品やガラスを大胆に使った作品、驚くほど大きい30m級の作品が居並ぶ中で、私の小さな庭は最高の評価を受けました。日本の庭造りの精神は世界に通用するのです」

路上販売の花屋からの成功、そして挫折

1958年に長崎県で生まれた石原氏。大学卒業後、一度は企業に就職するが「男性が花をいけるのも格好いい」と思い、いけばなの本流である池坊に入門する。29歳の時に一念発起し、地元・長崎で路上販売の花屋を始めると、その場で注文にこたえ、アレンジや花束をつくるという手法が大当たりする。石原氏は事業の全国展開に乗り出し、中国、ベトナムにも進出。しかし、拡大一辺倒だったビジネスは44歳の時に頓挫してしまう。数億円もの負債を抱え、失意のまま長崎に戻ると、追い打ちをかけるように父が他界。「ショックでしたが、転機にもなりました。亡くなる直前、酪農家だった父は『楽しい人生だった。ありがとう』と言ったのです。その言葉を聞いてハッとしました。私は何のために花を生業にしているのだろう?と」。自らがつくりあげたもので喜ぶ人の姿が見たい - その原点を見つめ直した石原氏は、長崎・思案橋で24時間営業の花屋を営みながら次のチャンスを待つ。やがて、顧客から初めてトータルな庭造りの依頼が舞い込んだ。「やったこともないのに、『得意です!』と言って仕事を引き受けました」。石原氏はいけばなで培った造形感覚を生かし、旧来の庭師とは一線を画す庭をプロデュースした。すると、その仕事ぶりはたちまち話題となる。そして、新進気鋭の庭園デザイナーとしてテレビ出演も果たすようになるのだ。

ランドスケープアーティストとしてのさらなる挑戦

チェルシーフラワーショーのゴールドメダル。園芸に携わる世界中の人々が一度は夢想する、頂点の勲章だ。

石原氏は多くの庭園づくりに携わりながら、さらなるチャンスを夢想する。「たとえば、ディズニーランドやハリウッドなどのガーデン。こうした大きなランドスケープを手掛けるには、権威となる肩書が必要ではないか?そう考えた時に、チェルシーフラワーショーへの挑戦を思いつきました」。2003年、石原氏は英国で賞を視察すると翌年の参加を決意する。「でも、エントリーの方法が分からない。バッキンガム宮殿に直接電話しました(笑)」。紆余曲折を経て参加は認められたものの、約5,000万円の費用がかかり、参加者は通常それをスポンサーでまかなっていることが分かる。「カステラの企業が"現物支給"のスポンサーになってくれましたが、資金は父が暮らしていた家を売却してまかないました」。しかし、いざ設営の段階になると、資金の大半を移動費、滞在費で使い果たし、資材が買えない。「そこで役立ったのがカステラです。"物々交換"で他の国から余った資材を分けてもらいました」。あふれ出るアイデアを、限りある資材でかたちにした作品は初挑戦でいきなりシルバーギルドメダル(第2位)を獲得する。「日本人にはできっこないと言われていたからうれしかった。その一方で、こうも思ったのです。なぜ二番なのだろう?」。翌年は資金集めと構想に専念した石原氏。2006年に満を持して作品「青嵐」を出展すると、ついにゴールドメダルを獲得する。日本人が初めてガーデニングの本場で頂点に立ったのだ。石原氏は続く2007年、2008年も制し、3連覇を達成。そして、今年4年ぶりにチャンピオンの座に返り咲いた。日本人単独での4度のゴールドメダル獲得は長いチェルシーフラワーショーの歴史でも初の偉業だ。「これからも出場を続けて、世界に日本の庭園を広めていきたいですね。文化の側面から日本を世界に発信する。それが私の使命なのです」

石原和幸ガーデニングセミナー

プミラやタイムをまっすぐにではなく、倒して植え込む。「これが金メダルの技です」との言葉に会場は沸いた。

6月2日、石原和幸氏が東京・南青山で主宰する「flower&café風花」でUBSウェルス・マネジメントのお客様をお招きしてガーデニングセミナーが開催された。この日は「ハーブの寄せ植え」を全員で制作。まず石原氏がラベンダー、プミラ、セージ、タイムを順に植え込み、手本をつくり、その後お客様に個別にワンポイントレッスンを行った。小さいながらも部屋に置けば静ひつな空気が感じられるプランターの寄せ植え。石原氏は「皆さん、ぎっしり植物を植えつくそうとされますが、大胆に空間をあけるのがポイントです。また、植物には前と後ろがあります。太陽に向いている方を前にした方が植えた時にきれいに見えます」とアドバイス。すき間を埋め、乾燥を防ぐために苔を敷きつめて寄せ植えは完成。「つくったばかりなのに、二日も経てば、前からあったような自然な感じになりますよ」

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